劇場公開日 2018年10月5日

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「綺麗事だけではない。共に生きてこそ知る、本当の愛とは。」パーフェクトワールド 君といる奇跡 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5綺麗事だけではない。共に生きてこそ知る、本当の愛とは。

2018年11月3日
PCから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

【賛否両論チェック】
賛:お互いを愛しているからこそ、傷つけまいと遠ざけたり、逆に傷つけたりしてしまう。そんな2人も恋路がもどかしくも切ない。障がいを持った人間が、大切な人と寄り添って生きていくことの大変さや、それ故の困難を乗り越えた時の温かさも、心に染みる。
否:展開は結構強引で、ご都合主義感も否めない。終わり方もやや予定調和か。

 片や夢を叶えながらも、車イスのために他人の助けなしでは生きられない自分を卑下し、重荷にならないようにと、誰かを愛することを諦めて生きていた樹。片やそんな樹と再会し、なんとかその力になりたいと一生懸命になるうちに、ついつい無理をしてしまい、それがかえって相手を追い込んでしまうつぐみ。お互いがお互いを想いやるが故に、時としてその行動でお互いを傷つけ合ってしまう。樹とつぐみならではの、もどかしくて切ない恋模様に、観ていて胸がいっぱいになります。
 決して綺麗事だけでは片づけられない、障がいを持った人間を取り巻く厳しい環境と、それを愛する人と共にどう乗り越えていくのか、感動だけではなく現実的に深く考えさせられるところもありますね。芦名星さん演じる長沢が告げる、
「彼と付き合うには、覚悟が必要よ。」
という言葉に、全てが表れているように感じます。どことなく、「抱きしめたい -真実の物語-」や「泣き虫ピエロの結婚式」といった作品の雰囲気を思い出しました。
 「人は独りじゃ生きられない。」
そんなヒロインの言葉にもあるように、お互いに寄り添い合って生きてこそ初めて知る、真実の愛の物語です。是非劇場でご覧になってみてください。

映画コーディネーター・門倉カド