劇場公開日 2017年6月10日

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「~「・・・で、あんたはどうしたいの?」~」めがみさま 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0~「・・・で、あんたはどうしたいの?」~

2017年6月30日
PCから投稿

悲しい

怖い

難しい

【賛否両論チェック】
賛:前半は、孤独で追いつめられていたヒロインが、自分に正直に生きるセラピストとの出逢いを通して、少しずつ変わっていく様子に感動させられる。後半は一転して、次第に限界が見えてきたセラピーの考え方や、段々と崩れていくヒロイン達の関係性に、他人との関わり合いの中で生きる重要性を再認識させられる。
否:展開はかなり強引で、かつこじんまりと収まってしまった感が否めない。

 自分の居場所がなく、精神的に追いつめられた理華が出逢った、不思議な魅力を持つセラピスト・ラブ。前半は、
「・・・で、あんたはどうしたいの?」
と、我慢をせずに自分の感じたままに生き、それを提唱するラブに、死ぬことを考えてやまなかった理華達が救われていく様子が、思わずグッとくるようなセリフ満載で描かれていきます。
 しかしやがて、セラピーの考え方のままに行動する者達が、次第に暴走していく姿を通して、「社会の中で生きること」の難しさや大切さも、訴えかけているようです。そして無二の相棒だったはずの理華とラブの間にも、ほのかな亀裂が走っていく様も、また切なさが残ります。個人的には、「自分に正直に生きる」と「自分は我慢しない」をイコールで考えてしまったところが、ラブのセラピーの限界だったのかなと感じました。自分と正直に向き合った結果なら、「我慢したいから我慢する」っていう選択肢もあるはずですしね。
 思わず感動させられつつも、自分自身が他人との関わりの中で生きていることを改めて痛感させられるような、そんな不思議な作品に仕上がっています。
 それにしても新川優愛さん、目力がハンパないですね(笑)。

映画コーディネーター・門倉カド