劇場公開日 2018年6月8日

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「ピアノの傍らにたたずむ美しい魂」羊と鋼の森 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ピアノの傍らにたたずむ美しい魂

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

ピアノ調律師・・・ピアニストにとっては、かけがえのない相棒。
でも調律師は究極の裏方のひとりです。
そんな慎ましくも密やかな調律師・外村直樹を山崎賢人が好演して
います。
ピアノ好き音楽好きには堪らない映画でした。

外村の最初の顧客、音大を目指す美しい姉妹、
佐倉和音と佐倉由仁を実際の姉妹・上白石萌音と上白石萌歌の2人が
情感いっぱいに演じて感動的です。

ピアノは「羊」の糸で作られたハンマーを、「鋼」の弦をたたくことで
音が鳴ります。
そこから原作者の宮下奈都が「羊と鋼の森」と題名をつけました。
映画も題名通り、詩情に溢れ爽やかさと静けさに包まれます。
外村直樹の調律師としての成長物語であると共に、佐倉姉妹のピアニストになる
鍛錬の難しさ・その苦悩と挫折も細やかに描かれています。

萌音さんと萌歌さんの演奏場面は動きの躍動感がまるで彼女たちが実際に
弾いているような素晴らしさで、2人の非凡な才能を垣間見ることが出来ます。

ピアノ挿入曲は多数で美しい演奏を堪能しました。
ラヴェルの「水の戯れ」
ショパン・エチュード9番「蝶々」
ベートーベンのピアノソナタ「熱情」
姉妹の連弾演奏でモーツァルトの「キラキラ星変奏曲」
そして調律先の廃屋の青年が弾くショパンの「子犬のワルツ」
(・・・この青年の演奏は切なかった)

忘れてならないのは外村直樹が生まれ育った北海道の山村の森。
森が繊細な響きを聴き分ける彼の音感を育てたのでしょう。
そして勤務地・北海道旭川市周辺の自然の豊かさと美しさ。
雪景色に先輩調律師・鈴木亮平の運転する赤いジープや山崎賢人の乗る
ミリタリーカラーの軽自動車が映えました。

計算も打算もない、清潔感溢れる本作品。
気持ちが洗われるようでした。

琥珀糖
CBさんのコメント
2022年9月15日

ピアノを弾ける人が観ると、俺が気づかないことにも何かきづかれるのだろうな、と羨ましいです。

CB
CBさんのコメント
2022年9月15日

また、素敵な映画、観られましたね。自分も、原作と共に、この映画も好きです!

CB