劇場公開日 2017年9月2日

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「感無量」ギミー・デンジャー Rimaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0感無量

2017年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

イギー・ポップ個人ではなく、あくまでストゥージズの映画。コアなファンなら周知だろうが当時の彼ら(特にイギー)は実際にはもっと過激で悲惨なエピソードも多い。しかしこの映画ではその辺はサラッとキレイに纏めている。やろうと思えばいくらでもスキャンダラスにできたのに敢えてしなかったのは、ジャームッシュ監督が内情暴露ドキュメンタリーが嫌いだからという理由ともう一つ、彼らの音楽的な軌跡を映画に焼き付け、歴史に残すことで、今迄軽視されがちだったストゥージズの重要性を後世にもわかりやすく伝えたいという強い意志からだろう。ジャームッシュ作品には珍しく時系列でわかりやすく、当時の彼らの断片的な映像を補うようにアニメーションや名作映画の引用等を用いて飽きさせない作り。バンド内の生臭いエピソードよりも彼らが活動した60年代のカウンターカルチャーとしてのロック史や当時のアメリカの文化史もわかるようになってるところが凡百のロック・ドキュメンタリーとは一線を画している。…と書いてみたものの、後半の再結成〜クライマックスの畳みかけるような展開には震えと涙を禁じ得ず。イギーの「何処にも属したくない、俺は俺」精神は、この映画を見たすべての者〜彼らをよく知らなかった人からコアなファンまで〜の心に残るだろう。

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Rima