劇場公開日 2015年4月11日

  • 予告編を見る

「メキシコでは、2006年に麻薬縄張り戦争が勃発、以降死者は12万人...」皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇 こんにゃくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0メキシコでは、2006年に麻薬縄張り戦争が勃発、以降死者は12万人...

2015年4月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

メキシコでは、2006年に麻薬縄張り戦争が勃発、以降死者は12万人とも言い、世界で最も危険な街と言われる国境の町シウダー・フアレスでは連日のように起きる殺人に怯えて暮らしている。映画を見ただけでは警察は死体を回収し、解剖して死因を特定し、証拠品を倉庫に入れるだけのようだ。97%は未解決だというメチャクチャさ。なにしろ少しでも正義感があるとマフィアに睨まれたらあの世行きなのだから仕方ないとも言える。その警官の堕落を追及する気にもなれない。
そういうギャングを英雄視する若者たちは多く、ナルコ・コリードというジャンルの歌で賛美されている。旋律はなんとも物悲しく美しいが、内容はギャングの個人的賛美歌、テーマソング。どれほど度胸のある無法者なのかを歌うもの。メキシコ国内では放送禁止発売禁止らしいが、アメリカでは結構売れているし、メキシコでもライブハウスなどでかなりの人気があるようだ。
なんとなく浪花節、河内音頭や講談まで連想させるし、実際義賊として伝説化されている者もいる。麻薬の売り先は主にアメリカ、武器や金は全て米国からやってくる。殺し殺されるのはメキシコ人。これもグローバルな格差だろうか。もちろんアメリカの底辺でも麻薬の周辺で殺し殺され合わされる人びともいるだろうが‥‥‥。ところで日本でも格差が拡大して固定化しつつあるというが、ヤケクソになってギャングになったという話はあんまり聞かないが、どうなんだろうか?

こんにゃく