劇場公開日 2015年8月22日

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「細かいことを考え出すとアレですが、基本的には好きなタイプの擬似家族物でした」at Home アットホーム スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0細かいことを考え出すとアレですが、基本的には好きなタイプの擬似家族物でした

2017年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

突っ込みどころは多々あったし、設定にも相当無理がありましたが、でも見終わってみれば何だかんだでホロっとしてしまう、心温まる擬似家族の物語でした。
果たして犯罪で生計を立てている者達に感情移入できるのか、そこだけちょっと引っ掛かる要素ではあったのですが、まあその行為を肯定はしませんけど、物語の落としどころをそう持っていくなら、こう言う話もありかなと。
特別不快感は抱かない構成になっていた辺り、いろいろと難ありな話ではありましたが、上手くまとめたのではないかと思いましたよ、細かいことを気にしだすと話にノレない可能性大ですが、まあ映画の中の世界ですから・・・そこは何も考えずに擬似家族の家族愛にドップリ浸るのが吉でしょう。

心に深い傷を負い、それぞれが苦しみ・悲しみを知っていた者達だったからこそ、他人同士でも強固な絆を築けて、優しい気持ちになれたのでしょうかね。
彼らを見ていたら、いろいろと家族の在り方について考えさせられてしまいましたよ、血が繋がっていても、物騒な事件が日々横行している時代だけに、尚更・・・。
劇中の各人もホントつらい日々を送ってきた人達でしたから、だけに余計に考えさせられるものがあって、思わず感情移入してしまいました。
まあリアルに考えればこう単純にコトは運びませんけどね・・・。

しかし意外と早い段階でクライマックス的な場面を迎えた時は、あれ、この映画どうなっちゃうのと、ちょっと心配になってしまいましたが、トリッキーな構成で見る者の感情を徐々に乗せていくこの演出は、個人的には結構好きでしたね。
序盤はホントこの映画大丈夫か?とハードルがかなり下がった分、終わってみれば何かいい映画を見たような気分に浸れて、ちょっと得した気分に!
冷静に考えれば絆が深まる過程をもっと掘り下げて描いて欲しかった気もするのですが、こんな変化球もまあ有りと言えば有りでしょう。

メインキャストの5人は特別目立つほどキャラが立っていた訳ではなかったですが、主人公が家族自体と考えれば、この程好い加減がむしろ良かったと言えましょうか。
松雪泰子の結婚詐欺はさすがに無理がありましたが、吉本芸人の地雷を見事に回収する演技力はお見事の一言、坂口健太郎の家族思いな長男ぶりも何気に印象深かったです。
ラストシーンもジンワリ良いシーンでしたねぇ、未来が想像できる、秀逸なラストでした。
まあ全体的に見ると何か足りないような気もするのですが、基本的には好きなタイプの映画で、ほんのり心が温まりました。

スペランカー