劇場公開日 2024年3月1日

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「マジメな馬締」舟を編む スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マジメな馬締

2015年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

知的

幸せ

地味ながら秀作!
勿論原作の秀逸さもあるのでしょうが、辞書作りと言うとんでもなく地味な題材を、よくもまあここまでユーモラスで味わい深い作品に仕上げたなと・・・さすがは石井裕也監督と思わずにはいられない作品でしたね。
知らない世界を知れた喜びもありつつ、人間ドラマに引き込まれた面もありつつ、程々の恋物語にキュンとした面もありつつ、絶妙なバランス具合もとにかく印象的な作品でした。

しかし辞書作りがこんなに膨大で途方も無い作業の連続だったとは、恐れ入りました。
辞書なんてどれも同じだとばかり思っていましたが、それぞれに個性があるものなんですね。
日常当たり前に使っている言葉の解説が、クソ真面目過ぎたりで相当笑っちゃいました!
おじさん編集員が若者言葉を研究している姿とか、可愛かったなぁ。
劇中で15年もかけて作られた辞書「大渡海」、あれ欲しいですねぇ・・・。

そんな題材の面白さだけでなく、人間ドラマ、特にキャラクター設定が本当に素晴らしかったですね。
演じた役者の演技もとても魅力的で、グッと引き込まれました。
特に松田龍平が演じた主人公・真締の真面目なんだけど不器用で変人な不思議ちゃんぶりには妙に引き込まれたなぁ。
今回改めて松田龍平って味のある俳優さんだなと、再認識させられました。

馬締と対比的に描かれたちょっとチャラいオダギリジョー編集員との掛け合いも最高でした!
更に言えば加藤剛をボスとした編集部全員、小林薫、伊佐山ひろ子、途中入社の黒木華、皆独特の雰囲気を醸し出していて良かったですねぇ。
変人・真締と宮崎あおいが演じた美女・香具矢の恋の話も、地味な物語のいいアクセントになっていたと思いましたよ。
香具矢の人物像がもう一つ掴み切れなかったところだけはちょっと惜しいなと思ってしまいましたが、まあでも全体的にはとても魅力的な作品だったと思いました。

スペランカー