LIMOUSINE DRIVE

劇場公開日:

LIMOUSINE DRIVE

解説

ニューヨークを舞台に、今時の日本人少女と黒人ドライヴァーが巻き起こす騒動を描いたコメディ。監督・脚本は「ジャンク・フード JUNK FOOD」の山本政志。撮影を「The Window」のマイケル・パールマンが担当している。主演は、映画初出演のT.M.スティーヴンスと仲祐賀子、「PORNOSTAR ポルノスター」の鬼丸。DVからのキネコ。

2001年製作/93分/日本
配給:レイライン
劇場公開日:2001年5月26日

ストーリー

かつて、かなりイケてたバンドのベーシストだった黒人のリムジンカー・ドライヴァー、マリークの今日の客は、ニューヨークに恋人を追って来たものの彼に女がいることを知ってやけを起こしたガングロ茶髪の日本人少女・エリ。「なんてついてない日なんだ」マリークの予感は的中し、売上金や車が盗まれた上、エリが金探しを手伝うと言って彼の部屋に転がり込んで来てしまう。翌日、離婚した妻と娘の為に養育費を払わねばならないマリークは、知り合ったパキスタン人・アクラムの露店で働くことに。だが、そのアクラムはチャイニーズ・マフィアのボス、ツィ・イーに上納金の支払いを迫られていた。そんな中、エリの紹介で、ギャング映画に憧れて渡米していた彼女の新しい恋人・ナオが、アクラムの未収金取り立ての仕事をすることになる。予想以上の働きをするナオ。その成果が認められた彼は、今度はツィ・イーの下で働くようになるのだが、その頃からエリはナオを持て余し始めるのだった。ナオから逃れる為、マリークに救いを求めるエリ。そんな彼女を、ナオは暴力をもって連れ帰ろうとする。しかしその時、ナオがツィ・イーに撃たれてしまった。ナオがツィ・イーの仲間を殺した罰だ。こうして、ナオから逃げることに成功したエリは、リムジンを取り戻したマリークと共に、ドライヴに出かけるのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚本
山本政志
製作総指揮
仙頭武則
北村信彦
孫家邦
石毛栄典
製作
山本政志
撮影
マイケル・パールマン
セットデコレイター
ミラ・キャレビク
音楽
ティ・エム・スティーヴンス
サウンドミキサー
ホセ・トーレス
サウンドデザイン
ロブ・デイリー
ガファー
高岡徹
編集
志茂真奈美
清水美紗子
ラインプロデューサー
サラ・ギレンスティアナ
監督補
マーセルス・ボブ
全てのスタッフ・キャストを見る

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映画レビュー

3.5摩天楼は見上げない

2023年3月6日
iPhoneアプリから投稿

山本政志はヘゲモニー的なものに決して跪拝しない。彼が望むのは、何人たりとも人種や言語や貧富によって区分されることのない、カオスでシームレスな万物共生的ユートピアだ。

彼の作品では弱者が思いがけない潜在能力を有している。それらが連帯を果たしたとき、強者と弱者の図式は転倒する。たとえば『てなもんやコネクション』では川の上に住む香港人家族と大阪人が海外資本による河川再開発計画を阻止した。あるいは『アトランタ・ブギ』では2丁目・3丁目に住んでいる貧民や在日外国人たちが一致団結し、1丁目の資本家たちの企てを打ち破った。

しかし一方で山本は、自らの掲げるユートピア思想が実現困難な理想論であることを自覚してもいる。『JUNK FOOD』では、横浜の都市的閉塞と孤独によって連帯という道筋を見失い、夜の街をあてもなく彷徨う姿が描き出されている。そこには普段のような底抜けの活力とハッピーエンドといったものは存在しない。

根っからの夢想家のようでいて実は空想と現実との間でうまいことバランスを取り続けてきた山本。本作においても「アメリカ」という何かと大きく括られがちな対象に対しても、当然ながらそれを過度に持ち上げも落としもしない。

戦後日本が常に憧憬の対象として仰ぎ見てきた「アメリカ」。そしてその中心地「ニューヨーク」。しかし画質の悪いデジタルカメラによって切り取られたそれは、不思議なことに町屋か青砥あたりの雑然とした下町のように見える。太平洋を丸ごと隔てた遠い異国が、ここでは自宅から1駅、2駅先の近所にまで陳腐化している。

日本人コギャルとニューヨーカーたちのやり取りも、文化間交流というよりは他愛ない井戸端会議のようだ。互いに好き勝手な話を好き勝手に展開する。そして「公用語」こそ英語であるものの、大事なことはみんな自分の国の言葉で話す。コギャルが黒人ドライバーの自宅前で「日本語で喋れよ!」と理不尽に怒鳴り散らすシーンは滑稽であると同時に、言語文化における英語の独占状態に対するシリアスな批評的意識が表れている。

本作には良い奴も悪い奴もいっぱい出てくるが、それらが「日本人」「アメリカ人」というような民族性に回収されることはない。あくまで「良い奴と悪い奴がいる」というだけで、言ってしまえばニューヨークという空間はどこまでも必然性のない背景に過ぎない。隣の客の話に首を突っ込む奴や、他人の車を盗む奴なんてのはどこの国にだって少なからずいるものだ。もちろん日本にだって。

あまりにもチープで突発的な幕切れには多少の不満が残るものの、概して山本政志のパッションが漲った良作だった。

てか、ヒステリック・グラマーって日本のブランドだったんすね…

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因果

2.0"ヘヴィメタル・ファンク"

2023年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

これ観ちゃうと『闇のカーニバル』や『ロビンソンの庭』をPunkな連中で撮っていた監督は何処へ、何を勘違いしたのかヒステリックグラマーを傘下に全編ニューヨークでのロケを敢行した山本政志の意欲作と捉えるべきか単にダサいで片付けてしまえる感想、ジャームッシュの『ミステリー・トレイン』でスクリーミン・ジェイ・ホーキンスとのやり取りが印象的なスパイク・リーの弟であるサンク・リーが小泥棒で、主演の黒人が有名なベーシストであるミュージャンだとは知らなかった、屈強な黒人たちに引けを取らない鬼丸の凄みある存在感は流石の一言、役柄的にやりすぎ感が否めないのは演出している山本政志が原因。

ニューヨークを舞台に多国籍な登場人物と日本を代表したコギャルが繰り広げる安っぽい雰囲気で覆い尽くされた陳腐さが際立つ、全てが、鬼丸以外は全部がダサい、残念!?

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万年 東一

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