姿なき顔役

劇場公開日:

解説

島田一男の『土曜日の男』を映画化したもので、「夜の狼」の阿部桂一が脚色、「その女を逃がすな」の若杉光夫が監督したスリラー。撮影も「その女を逃がすな」の井上莞。高田敏江・内藤武敏・草薙幸二郎・佐野浅夫らの民芸連に、新人服部哲治らが出演。

1958年製作/60分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年11月26日

ストーリー

土曜日の夜に限って商社を狙う強盗事件が次々と発生した。警視庁の捜査が進むにつれて強盗に襲われた会社には必ず少年院帰りの男が勤めていることが分った。警察は少年院出の男たちの補導に力を尽している高見花店の主人・謙吾の助けを借りて、しらみ潰しにそれらの男たちを調べていった。精密機械会社に勤める南原信彦も少年院出身、倉庫係主任の岡崎に拾われ、彼の下で働いていたが、訪れた刑事に幸せの夢は破られた。ある日、笙子という若い女が信彦に声をかけた。「今晩七時、コベールというキャバレーへ来て下さい」--コベールには女給姿の笙子と、少年院時代の仲間、小橋と坂井がいた。二人は、強盗の犯人は自分たちだ、と言い信彦の会社の倉庫の鍵をよこせと迫った。「断ったら、自分ばかりか、姉までもが危い」……信彦は決心をした。やがて、ヤクザ姿の信彦がコベールへ出入りするようになった。が、信彦がヤクザ姿になったのは実は小橋たちを欺く手段で、実は少年院にいた仲間の弱味につけこんで悪事を働く彼らと闘おうと考えたからだ。しかし、小橋は、信彦が警察に登録されている拳銃を買込んだことから、彼の計画を知り、姉の房江を人質に奪い去って、「土曜日の朝まで倉庫の鍵をもってこい、さもなければ姉さんの命は貰った」の脅迫。土曜日、信彦は遂に鍵を持って小橋のもとへ向った。そのころ、姉の房江は「弟の会社は止めて下さい。代りに私の会社を、五千万円以上のダイヤがあります。弟を助けて下さい」と小橋に懇願していた。一味は房江の会社へ、入れ違いに信彦が飛び込んできた。彼は一味の一人から拳銃を奪い、姉の行先を聞いて後を追った。房江の会社の金庫の前。信彦は躍りこんで一味に拳銃を向けたが、弾丸は出なかった。彼の前に迫る一味の首領。それは意外にも花屋の主人の謙吾であった。しかしこの時警官隊が駆けつけた。信彦に好意をもっていた笙子が警察に知らせたのだ。一味は逮捕され、信彦には再び幸せな日が戻った。

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