呼応計画

解説

「カーチャ」「帝国の破片」のフリードリッヒ・エルムラーが「紐工場」「黒い帆」「黄金の山」のセルゲイ・ユトケヴィチと共同して脚色監督にあたった一九三二年十一月の十月革命十五周年記念映画の一つであり、国家工業財政計画のための闘争を描いたソヴェート芸術音画。作曲には「黄金の山」「エフゲニイ・オネーギン」のショスタコヴィッチが協力している。俳優にはウラジミール・ガルディン、M・ブリュメンタリ・タマリーナ、アンドレイ・アブリコソフ、タマーラ・グレツカヤ、ボリス・テーニン、B・ボスラフスキイ、等々が助演している。録音はショーリン・システム。

1932年製作/ソ連
原題:Counter Plan Vstrechnyi

ストーリー

国立工業財政計画によって与えられた課題に対し、それを遂行する立場にある企業工場が、自主的に、もっと能率を挙げ得る計画を逆に訂正し、監督官庁の認可によってそれを責任を以て完行せんとすること、--これを呼応計画という。レニングラードのタービン工場でも呼応計画を樹てソヴェート連邦最初の五万キロワットのタービン製造にかかる。タービンの重要部シリンダーの製造を任されたのは四十年勤労者の老職工でバブチェンコであった。頑固で、飲みすけで、新しい組織に反抗する老職工である。呼応計画は着々に進められ、先ずシリンダーが出来上がる。だが、その試験の日、折角のシリンダーに重大な狂いがあることが技師パーウェルによって発見された。職場では「恥辱」の黒旗が立てられる。そのため工場は作業を一時停止しなければならぬ。が、呼応計画は一日も怠かにすることは出来ぬ。職場全体の会議がひらかれる。打開策が講ぜられる。老職工バブチェンコは、一人絶望のうちに、自棄酒をあおっている。工場の秘書役ワーシャがやって来て、理を説いて、バブチェンコの工場復帰を勧める。五月も末となり、レニングラードに白夜が訪れるころ、バブチェンコは再び立って、呼応計画のための闘いをはじめる。同じ工場で技師として働いているスクウォルツォフは、メトロポリタン・ヴィッカース会社との黙契の許に、電気建設の妨害を計っている男である。それ故ヴィッカース会社から輸入される機械がイギリス流にインチで計算されているのに反し、ソヴェート工場ではいずれもメートル単位であるため、この工場で別に製造されている二万四千キロ・タービンの図面に換算上の誤差として〇.〇三ミリメートルが現れていることを知って知らぬふりをしている。が、彼に師事するチュトチキンは図面の計算中にこの〇.〇三ミリメートルの誤差を発見し、それが陰謀事件に関係ありと見られ、責任者たる建造部長ラザレフ技師は、ゲ・ベ・ウ(国家保安部)に引致される。奸悪なるスクウォルツォフ技師は巧みに責任を免れていた。しかし、ラザレフ技師の嫌疑もチュトチキンなどの努力によって晴れ、技師パーウェルの今日までの数字上の不可解な謎も解け、工場はあげて呼応計画の完成に突進する。数日後、遂に五万キロ・タービンは完成した。試運転。成功、成功である。歓呼の嵐。とどろき渡る「呼応計画」の大合唱裡に、老職工バブチェンコは更生の盃をあげるのであった。

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