太陽のかけら(1965)

劇場公開日:

解説

ボッセ・グスタフソンの「王の道」を、彼とグンナール・へグルントが共同脚色、グンナール・へグルントが監督した若い日への郷愁をロマンティックに描いた青春もの。撮影はベルティル・ビクトルソン、音楽はカール・エリック・ベリンが担当した。出演は舞台出身のマチアス・ヘンリクソン、同じく舞台出身のマウデ・アデルソン、ラルス・リンド、ギイ・ド・ラ・ベリィなど。

1965年製作/スウェーデン
原題:Kungsleden
配給:東和
劇場公開日:1966年1月9日

ストーリー

スウェーデンの北の高地に、果しなく続くこの「王の道」を、君(M・ヘンリクソン)はただ黙って歩んでいく。失われた恋を求め、若き日の情熱のあかしをたずねて……。十年前にここを歩んだ時、君はひとりではなかった。牝鹿のように美しい脚が、君の片わらで躍り、白いブーツがまぶしく光った。君は今でもそれを憶えている。いやそれだけではない。あの声も、ダーク・ブラウンの長く豊かな髪も、胸にしみいるようなその匂いも……。「王の道」は少しも変わってはいない。今、君の前にはレニ(M・アデルソン)とはじめての夜を過した山小屋が、十年前とそっくり同じ姿でたっている。夜があげた。宿帳にサインしようとした君は、そこにレニの名前を発見した。本当にレニがここへ来ていたのだろうか?「十年たったら」といった、あの時の言葉どおりに……。第二の小屋にもレニのサインが残っていた。君は「王の道」をさらに進む。冷たい雨が、強い風に混って吹きつける。いつの間にか腕時計が止り、時がわからなくなった。第三の小屋に、レニのサインはなかった。しかしこの匂い、これはレニの髪の匂いではないだろうか…。十年前、君の愛から発する怒りと嫉妬に、レニはひとり山をおりていった。「私たち、うまくいかないわ。十年後ならわからないけど……」といって。あれから十年、君は今あの時の山の渓流にやってきた。だが、君の目の前にはレニの死体が浮かんでいた。混乱した頭のままレニを川原に葬り、第四の小屋へ行った君は、ひとりの男と一緒になった。彼がレニを殺したのでは……。君は岩壁で男に追いついた。だが男は足をすべらし谷底へ落ちていった。ふと気がつくと腕時計が動いている。今のことは幻覚だったのか?どこまでが現実で、どこからが幻なのか、君にはもうわからない。しかしそれでいいのだ。君は今こそ青春の幻に別れを告げて、妻子の待つ現実の世界へ帰っていくのだ。

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