チャタレイ夫人の恋人(1955)

劇場公開日:

解説

伊藤整の完訳をめぐって起訴問題を起したイギリスの文豪P・H・ローレンスの代表作『チャタレイ夫人の恋人』の初めての映画化。監督は「巴里の気まぐれ娘」のマルク・アレグレで新聞記者出身のガストン・ボヌールとフィリップ・ド・ロトシールが小説を劇化し「うたかたの恋」の作者ジョゼフ・ケッセルとマルク・アレグレが共同脚色した。台詞は、ローレンスの原作よりアレンジしている。撮影は「彩られし幻想曲」のジョルジュ・ペリナール、音楽は「やぶにらみの暴君」のジョゼフ・コスマ。主な出演者は、「赤と黒(1954)」のダニエル・ダリューがチャタレイ夫人に扮し、「白い国境線」のエレノ・クリザ、「哀愁のモンテカルロ」のレオ・ゲンと仏、伊、英の三スターが顔をそろえる。他に「別れの曲」のジャニーヌ・クリスパン、「夫は偽者」のジャン・ミュラー、「間諜都市」のジェラール・セティ等。

1955年製作/101分/フランス
原題:L'Amant de Lady Chatterley
配給:NCC=ユニオン
劇場公開日:1955年12月18日

ストーリー

英国の大炭鉱主クリフォード・チャタレイ卿(レオ・ゲン)は、大戦で重傷をうけた。彼の下半身は永久に麻痺したままである。夫の世話をやく妻コンスタンス(ダニエル・ダリュー)は、夫婦生活を営めぬ夫に、何か満ち足りぬものを感じていた。彼女の姉ヒルダ(ジャニーヌ・クリスパン)は、愛人をつくって空虚を満すことをすすめた。だがコンスタンス《コニー》は耳をかそうともしなかった。人生に対し無関心を装うクリフォードも、自分の家名を相続する息子を望んでいた。「誰れか他の男でもいい。子供を産んでくれないか」この夫の言葉は、コニーの心に微妙な変化を与えた。この頃、新しい森番メラーズ(エレノ・クリザ)が雇われた。彼は変った男だった。戦は彼に人生の味気なさを教えた。帰還後は妻と別れ、一人暮しをする彼には、男性の威厳と自信が満ちあふれている。コニーの心はしだいにメラーズの上に傾むいて行った。身分の差も、激しい情熱は乗り越えて行く。夫の世話を看護婦にまかせたコニーは、森の小屋を訪ねるようになった。彼女は新しい人生の喜びに目覚めた。しかし、コニーは妻として悩んだ。メラーズとの仲や、妻としての立場を考え直してみたい。コニーは姉ヒルダの誘いを受けて、ヴェニスへ旅立った。だがコニーが出発した後で、メラーズの前妻ベルタが戻ってきた。嫉妬にかられたベルダは、コニーとの醜聞を云いふらした。クリフォードはメラーズを解雇し、コニーを呼び戻した。コニーは妊娠していた。子供の父がメラーズと知ったクリフォードは、下賎の子と激怒したが、子供だけは手離そうとはしなかった。彼にとっては、自分の後継者を得ることが、最も大切なことである。コニーはこうした夫に失望した。名誉も身分も、真実の幸福には関係ないことを悟ったコニーは、メラーズの許へ走り、新しい人生の門出をするのだった。

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