劇場公開日 1970年5月1日

「凡人の私には、その生き様に共感出来ることが余り無く…」裸足のイサドラ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0凡人の私には、その生き様に共感出来ることが余り無く…

2022年8月26日
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昨年、ヴァネッサ・レッドグレイヴ主演の
「欲望」を鑑賞。
更に先日、フレッド・ジンネマン監督の
「ジュリア」の中の彼女の存在感に
感服した経緯から、
キネマ旬報第19位のこの作品を初鑑賞。

レッドグレイヴのプロフィールを拝見すると
イサドラと彼女の生き様が
かなり符号して見えるので、
彼女自身がこの役を積極的に望んだのではと
勝手に想像した。
しかし、恋にも、踊りにも、
自由奔放な彼女の生き様に、
凡人の私には共感出来ることが
余り無かった。

また、子供を作っても結婚はしない、
との姿勢は、
「ガープの世界」の母親が思い出されたが、
昨今の子殺し事件の母親とは異なり、
愛情が重い分だけ子供達の事故死が
彼女に与えた影響は如何ほどだったろうか。

イサドラは、“モダンダンスの祖”と評される
かなり有名なダンサーのようだが、
私にとっては知識外の人物だったので、
少し彼女の予備知識を入れた上で
この作品を鑑賞していた方が良かったかな
とも思わされた、
子供達の事故死の後追いにも思えるような
驚愕の彼女の死を予期出来たとしても。

演出としては、
時折ユーモラスな描写も織り込まれたものの
グロテスクなイサドラの事故死の描写など、
首尾一貫しない作風に感じられ、
また、現在と回想シーンのかみ合いが
今一つのように思われることもあり、
上手さを感じることは無かった。

従って、見事なダンスシーンも含め、
かなりの熱演だったレッドグレイヴの演技が
どうのこうの以前の鑑賞になってしまった
のは残念だった。

しかし、この映画の監督が
私の若い頃に面白く鑑賞した記憶のある
「フランス軍中尉の女(キネマ旬報第9位)」
と同じ人だったことも認識外だった。
また、再鑑賞すべき作品を発見する
切っ掛けにしてくれた「裸足のイサドラ」
の鑑賞にはなったが、
そちらのカレル・ライス監督の演出力は
どうだったのだろうか。

KENZO一級建築士事務所