猛襲連続

解説

「懐かしの泉」等同様チャールズ・レイ氏主演のファーストナショナル社映画で、レイ氏の自社設立後の作品である。短編小説家チャールズ・E・ヴァン・ローン氏の原作をフィニス・フォックス氏が脚色し、レイ氏自身監督したもので尚アルバート・レイ氏が熱心に助監督を勤めた。拳闘試合の譚りたる本映画発売当時丁度かのデムッシーとカルバンチエの大拳闘仕合が目前であった為、米国では大好評を博したもの。相手役はクリスティー喜劇で大のお馴染みのヴェラ・ステッドマン嬢である。

1921年製作/アメリカ
原題:Scrap Iron

ストーリー

ジョン・スティールはある鉄工場に勤め病気の母親を養っていた。母親は彼に大なる希望を繋ぎ喧嘩や勝負事を厳禁していた。親孝行なジョンは固く母の誠めを守った為、工場では「意気地なし」と罵られ、遂には隣家の恋人ミッジにまで其為に愛想をつかされてしまう。拳闘家のバークに心を寄せてしまったミッジの事を思うと彼は悲しさに堪えられなかった。不幸にも彼は又遅刻の故を以て工場も免職された。母に心配させぬ為免職は秘しているが忽ち金に窮してしまった。折柄拳闘家バークが仕合の相手を懸賞で求めたので、以前から少しは其道に心得のあるジョンは母親には内密で其仕合に出た。バークの卑劣な態度に憤慨した彼の死に物狂いの奮闘は図らずも勝ちを制し懸賞金は彼の手に入った。然し彼の留守中母親の病勢が昂進したり、又仕合の相手バークが彼の一撃の為死に瀕している事等を聞き勝利の喜悦は煙の様に消えた。やがてバーク蘇生の報に愁眉を開いた彼は、獲得した懸賞金で母を保養に気候の良いフロリダの地へ連れて行く幸福を味わえた。

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