地獄花(1920)

解説

リチャード・ウォッシュバーン・チャイルドの原作を、ジョージ・D・ベイカーが脚色および監督した社会劇で、その簡潔なうちにも麗しい人の感情を描いた筋は、型に陷った映画劇から1頭抜きんでていると言う。主役は我国にはあまりなじみはないが確呼たる手腕を持ったフレッド・バートンとジュリア・スウェイン・ゴードンとである。

1920年製作/アメリカ
原題:Heliotrope

ストーリー

終身懲役囚ハリー・ハスドックも世に在りし頃は楽しき家庭を持ったこともあったが、心よこしまな妻のために幾度か辛い思いを味わなければならなかった。そして遂に彼は自らを、冷い獄裏に見い出したのである。2人の間に生まれたアリスは、孤児として修道院に養われたため、両親が素性も知らず、寂しい内にも心静かな日を送っていたが、ある富豪の青年と婚約してからは彼女には始めて輝かしい人生が微笑むように思われたのである。しかるに彼女の母ジョセフィンはこれを知って娘を脅喝し金を強請しようと企てた。獄中のハリーはこれをスパイクという仲間から聞かされ愛する娘を保護するために自由の身になろうと苦心し、マーサー知事の情けで悪事は働かぬと誓って遂に放免される。ハリーはヘリオトロープの花を好んでいたので、「ヘリオトロープ」と渾名されていた。それ故彼はその花や香りを妻の室に置いて、己れが自由になったことを警告した。ジョセフィンはこれを怖れ逃れんとするのに心を費して、娘に近づく機会がなかった。その中絶体絶命となった彼女は、夫ハリーを射殺し、自らも自殺して果てた。そのためアリスは身の回りで起こった悲劇が自分と関係あることも知らず、安らかな幸福に生きる身となったのである。

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