泰西侠盗伝

解説

「シマロン(1931)」以来初めてのアイリーン・ダンとリチャード・ディックスの顔合せ主演映画で、E・W・ホーナング作の小説に依り、リン・リグスとレナード・スパイゲルガスが映画脚色し、ベッキー・ガーディナーが台本を作り、「餓ゆるアメリカ」「真夜中の処女」と同じくウィリアム・ウェルマンが監督し、ジェームズ・ヴァン・ツリースが撮影した。助演者は「三角の月」のメアリー・ボーランド、「光は野より」のコンウェイ・タール、「真夜中の処女」のアンディ・デヴァイン、「若草物語(1933)」のヘンリー・スティーブンソン、「大帝国行進曲」のユーナ・オコナー、レジナルド・オーウェン、スナップ・ポラード等である。

1934年製作/アメリカ
原題:Stingaree

ストーリー

1870年のころ、全豪州の富限者達を戦慄恐怖せしめたのはスチンガリーと呼ばれる大盗であった。彼は常に一人の配下ホーウィーを伴って、風の如く出没しては富豪の財宝を掠めるので警察当局でも手の着けようもなかった。メルボーンの近在に広大な荘園を構える金持のクラークスンの夫人は声自慢でグランドオペラ歌手たらんとの野心を抱さ、オペラの名演出家ジュリアン・ケント卿を招いて、声を聴いて貰うこととなった。此の事を聞いたスチンガリーは豪雨の夜ケント卿を途に邀して卿の書類を奪った。元来、音楽に才あるスチンガリーはケント卿になり済ましてクラークスン家に乗込み、邸内の様子財宝の在処などを検分するつもりだった。所が彼が訪れた時は主人夫妻は留守で養女ヒルダがピアノに向って歌を歌っていた。彼はヒルダの楽才に驚嘆すると共にその美しさに心をうたれ、彼女はオペラ歌手として成功すると告げる。そこに夫妻も帰宅したが折柄警部が訪ねて来てスチンガリーの正体を看破したので、彼はヒルダを小脇に抱き飛鳥の如くに逃げ失せた。ヒルダは恐れ且つ怒ったが、騎士的なスチンガリーの態度とその高い教養に心を惹かれて、彼に唇を許したのである。スチンガリーはヒルダを伴って、クラークソン家の宴会に望み、拳銃を擬しつゝ本物のケント卿にヒルダの歌を聴かせた。歌が終って逃げ行くのを、警官に狙撃され負傷してスチンガリーは縛に就き、ヒルダの成功を祈って下獄した。ヒルダはケント卿に伴われて欧州へ渡り、修業を積んで天晴れ全欧州オペラ界随一の名星となる。そしてケント卿の求婚に承諾をしたのであるが、スチンガリーの風貌忘れ難く、ヒルダは豪州へ帰り、メルボーンで独唱会を開いた。この時スチンガリーは脱獄してヒルダに会う機会を狙っていた。スチンガリーは独唱を聴きに行く途中の総督を突如襲って追剥をやり、総督になり済まして劇場の貴賓席に姿を現した。ヒルダは舞台から再会の喜びを楽に托して歌った。その時彼の正体を見破った警官が逮捕に来たがスチンガリーは逸早く逃走して了う。その夜ヒルダが一人宿にあって物思いに沈んでいると、スチンガリーは窓から姿を現して彼女に愛を囁いた。そして再びヒルダを小脇に抱いてスチンガリーは白馬にまたがって山塞へ遁れたのである。かくてヒルダは歌姫としての栄誉を棄て大盗スチンガリーの妻となった、という。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る