劇場公開日 2012年8月4日

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「【”霧深き町の聴覚障害者学校で教師たちにより行われていた忌まわしき事。”今作は鑑賞するのがキツクて、哀しい作品であるが、今作が韓国社会の世論及び法制度を大きく変えた意義は大きな作品である。】」トガニ 幼き瞳の告発 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”霧深き町の聴覚障害者学校で教師たちにより行われていた忌まわしき事。”今作は鑑賞するのがキツクて、哀しい作品であるが、今作が韓国社会の世論及び法制度を大きく変えた意義は大きな作品である。】

2023年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

怖い

知的

ー 今作(実話ベースである。)で、聴覚障碍者生徒への虐待に対し、決然と立ち上がったイノを演じたコン・ユを知ったのは「サスペクト 哀しき容疑者」「新感染 ファイナル・エクスプレス」である。
  で、レンタルビデオで今作を鑑賞したのだが、余りの忌まわしさと加害者たちの量刑の甘さに憤然たる思いを持った作品である。
  だが、その後別の機会にこの作品により、韓国の法制度が改正され、加害者たちに重い量刑が下されたと知った時には、韓国映画が世論に及ぼす影響を感じたモノである。-

■田舎町の聴覚障害者学校に赴任した、美術教師のイノ(コン・ユ)。
 校内に漂う不穏な空気を感じ取った彼は、次第に生徒たちが教師から虐待されているのを知る。(痣や傷の多数ある顔の生徒達・・。)
 人権センターのユジン(チョン・ユミ)と連絡を取って告発に動くイノだが、警察とも癒着する校長(チャン・グァン)たちからの妨害を受けるように。

◆感想<久方ぶりの鑑賞であるので、手短に。)

・前半の校長や行政室長、パク先生たちの幼き生徒達への性的暴行シーンは直接的には描かれないが、吐き気がする。

・更に、表向きには人格者を装った校長の姿や、親族の女が子供達の軽度の頭脳障害を持った親や祖母を金で示談に持ち込む姿。

・イノも職を解かれつつも子供達の為に裁判を起こすが・・。
ー 前官礼遇ね・・。韓国の司法が(当時)腐敗していた事が分かる。序でに行政も・・。-

■一番悲しかったシーン
 ・冒頭のシーンで、パク先生の虐待により、幼き弟を列車事故で(自死である。弟を失い祖母が示談金を受け取ってしまったミンスがパク先生を線路近くで待ち受け、先生の腹にナイフを突き立て、自らパクを組み敷いて列車に轢かれるシーンである。

<今作公開後、モデルとなった事件を起こした学校への批判が殺到。学校は廃校となり、障害者や児童への虐待にたいする時効を撤廃する”トガニ法”が制定されたそうである。
 だが、今作後も聖職者による幼き子供達への性犯罪を扱った「スポット・ライト 世紀の梳スクープ」などで、弱者に対する社会的地位のあるモノ達の性犯罪が暴かれている。
 何とも気が重くなる。だが、今作の意義は大きいと思うのである。>

NOBU