劇場公開日 2010年11月27日

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「後味として静かに感動が全身を浸します。」Ricky リッキー シモーニャさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0後味として静かに感動が全身を浸します。

2010年11月27日
PCから投稿

泣ける

幸せ

やはり、オゾン監督は油断できない。常識的な作品の中に、ゾクッとさせられる女性のエロティシズムが随所に散りばめられている。女性の心情を冴えた映像で表現する事が出来る監督だと実感する。物語は、自分が生んだ赤ん坊の背中から羽が生えてくると云うシュールさ、しかし、行き過ぎた演出が無い為か、意外とリアリティがある様に感じる。更に、物語の設定が工場で働くシングルマザーのカティとスペインからの出稼ぎのパコとが恋に落ちると云う設定にも現実感がある。ばらばらだった家族が、それぞれの居場所を見付け調和していく様子を、説教的ではなく役者の表情や信頼感で表現していく。特にカティの表情が変化していく様に説得力があり、観客は納得させられる。これは、オゾン監督の成せる技だと思う。この監督は女性の心情を最もよく理解している。何よりも、リッキーを通して成長するカティの母性愛が、切なくも後味として静かに感動が全身を浸します。いつも一緒にいて育てるのは大変だと思うけど、ある意味、赤ん坊は翼の生えた天使だ。この映画は、ママになる人、パパになる人に是非!観てもらいたい。私は、もう直ぐ子供が生まれる弟夫婦にチケットをプレゼントしました。

シモーニャ