劇場公開日 2010年9月25日

「少々ベタだが自然に入り込める良作」おにいちゃんのハナビ antさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5少々ベタだが自然に入り込める良作

2010年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

萌える

このところ多い地方ものプラス難病ものと思って軽い気持ちで見ていたらけっこういけた。まず泣かせる場面を最小限に抑えてあるので最後の場面で自然と泣ける構造になっていて、涙のインフレになっていないのがいい。

 次にキャスティングの妙。引きこもってしまった兄が高良健吾で、明るい性格の妹が谷村美月というのもいいのだが、父子(大杉漣)と母子(宮崎美子)の雰囲気がとても似ていて無理なく話に入り込める。ただ谷村が丸顔なのであまり病弱に見えないのが残念(まあ彼女もきちんと病人を演じているわけだが)。脇にも名の知れた俳優を使っているが、成人会のメンバーが弱い、その分主役の二人を目立たせるためと思えばこれもありだ。

 おにいちゃんがハナビを作ると決めてからは「男は黙って仕事」モードに入るのでそこをどう見るかで評価が分かれそう。たしかに高良健吾に一人で映画を引き受ける力はまだないのだが、そこは彼のがんばりとそこにはいないはずの谷村美月の存在感で補っている。

ant