「門外漢ですみません [スコア修正]」THE LAST MESSAGE 海猿 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
門外漢ですみません [スコア修正]
……あの……高評価が多い中申し訳無いんですが……。
自分、『海猿』は映画の前作もドラマも未鑑賞の門外漢。以下のレビューは
1.日本の大手スタジオが制作した初の3D映画
2.人間ドラマが主軸のパニック大作
という見方で鑑賞した人間の意見として読んでください。
驚いたのはVFXの迫力。巨大プラント・レガリアを始めとするCGはハリウッド映画と遜色無いくらいにリアルだし、濁流がなだれ込み、あちこちから炎が上がる災害シーンもかなりの迫力だ。日本映画でもここまで出来るのかとちょっと感動。
だがそれ以外は——
前述の通り僕は前作もドラマも一切観ていないので、主要な登場人物の背景はぼんやりとしか見えず、あまり感情移入も出来なかった。
しかしそうでなくても、自分の心情をただ吐露しているだけのような凡庸な台詞では心には響かない。
巨大プラント・レガリアに取り残された人々は主人公を除いて今回初登場なのだろうが、彼らの背景や生き様にもまるで深みが感じられない。唯一、レガリアの設計士である男には人間味が宿ってみえたが、女医の存在感は薄いし、整備士の男などは正直居ても居なくても同じだ。『主人公をレガリアに取り残す』という物語上のツールでしか無い。
パニック大作を期待していた人間からすると、巨大プラントという危険だらけの舞台設定を活かし切れていないという感も強く(食堂と掘削船の往復が殆ど)、テンポもまったりしていて、緊張感を煽られるシーンもほぼ無い。
あのラストも含め、まったりした映画だ。やはり『海猿』に思い入れがある人向けの映画という事かな。
ここからは映画自体の評価にはあまり加味していないが、3Dの効果について。本作の3D効果は相当に薄く……いや、むしろ不必要に感じた。
大部分が夜の場面なので全体的に暗く、カメラも常に動くので眼が追い付かない。どちらも3Dには不利だろう。
(余談だが『バイオハザードⅣ』でスローが多用されていたのは、スピーディなアクションよりもスローの方が3D効果を実感し易いからという意図があったのではと本作を観て思った)
おまけに水泡や水滴など、3D映像に奥行きを与える格好の材料も殆ど利用されない。
露骨に3D効果をひけらかす映画もどうかと思うが(古い例だが『13日の金曜日PART3』とか)、この映画は逆に3Dで撮る必要が本当にあったのか大いに疑問。
2D鑑賞を全力でお勧めする。
<2010/9/20鑑賞>