劇場公開日 2010年2月27日

  • 予告編を見る

「ニューヨークの魔法」ニューヨーク、アイラブユー ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ニューヨークの魔法

2010年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

「パリ、ジュテーム」のニューヨーク版だけど、作品としてはだいぶ趣が違う。「パリ」では各監督の個性がより前面に押し出され、各エピソードが際立った“オムニバス”作品だったのに対し、「ニューヨーク」には各エピソードに統一感があり、1本のシナリオとして機能している。だから群像劇といってもおかしくない。

 監督(&俳優)の面子もなかなか豪華で、イバン・アタル、アレン・ヒューズ、岩井俊二、チアン・ウェン、ジョシュア・マーストン、ナタリー・ポートマン、ブレット・ラトナー、ファティ・アキン、シェカール・カプール、ミーラー・ナーイル、ランディ・バルスマイヤーと11人がズラリ。「パリ」は監督が少し多すぎたように思うが、11人ならそこまで飽きがこない。ナタリー・ポートマンもバカにはしていけない。個人的には小説家が監督するより、俳優が監督する方がよっぽど同業種だと思うし、さすが現場数こなしてるだけ安定感もある。個人的には故アンソニー・ミンゲラが遺した脚本(主演はシャイア・ラブーフ)に不思議な力を感じた。尺も他の作品より少し長いのだが、ミンゲラの遺した脚本を監督のシェカール・カプールが変更・削除することを頑なに断ったことがその理由だそう。

 「ニューヨークはどこを切り取っても画になる」とよく形容されるけれど、この11人の精鋭たちはまさにそれをスクリーンで証明してくれる。老若男女、さまざまな人種、さまざまな事情が行き交うニューヨークの街角、映画を見たら行きたくなるはず。

ikuradon