劇場公開日 2008年7月19日

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百万円と苦虫女のレビュー・感想・評価

全100件中、21~40件目を表示

4.5【一人の若き女性が、ある出来事を切っ掛けに”自分を知らない人達が住む”処を転々とする中で、”何があっても逃げない”姿勢に変容して行く心の様を描いた作品。】

2021年1月17日
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鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

知的

幸せ

■作品の印象
 ・佐藤鈴子(蒼井優)が、新しく住む処に着いた際に、全身を伸ばしてリラックスする姿が印象的だ。
  彼女の事を、誰一人として知らない処に来た安堵感と開放感が身体中から、発散されているからだ。

ーCaution 以下、内容に触れています。-

 ・鈴子は、最初に住んだアパートメントでひょんなことで、”良く知らない同居人”の行った事を許せずに、”ある事”をする。その結果、彼女は”前科者”となる。

 ・彼女の両親の関係性は表面上は普通だが、実は冷え切っており、進学校を目指す弟卓也も、彼女に冷たい。だが、卓也は常に学校で苛められていた。
  鈴子も地元で元同級生たちに嫌がらせをされるが、卑屈にならずに敢然と立ち向かう。鈴子の姿を見ていた卓也は、彼女への味方、接し方を変える。
  ◆この作品の初期設定が効果的に、後半に効いてくるのである。

◆鈴子は、彼女の事を知らない町に100万円貯まる度に、移り住んでいく。
 ・最初は、海が見える部屋に住み、海の家で働く。かき氷を作るのが上手く、茶髪の男性にも言い寄られるが、決して自らが築いた他人との”壁”を崩すことはない。

 ・次に移り住んだのは、高年齢化が進むある村である。
  桃農家に住み込んで、短期のアルバイトをすることになった彼女に、同じ家に住むハルオ(ピエール瀧)は、イロイロと煩いほど世話を焼くが、基本的には優しい。
  彼女が村おこしのために”桃娘”に無理に就任させられそうになった際の、ハルオが村の公民館で村人たちに言い放った言葉。
  ”自分たちで、やるべきことを遣らずに、都会から来た娘に押し付けるな!”
  そして、彼女が村を去る際に、ハルオの母親が掛けた優しき言葉と、ハルオが手渡したビニール袋に入れた”桃の餞別”
  彼らが、鈴子が”前科者”と分かっても変えない、優しい鈴子へのスタンス。

 ・彼女は、都会の近郊都市のホームセンターで働くことになる。彼女がアパートメントを借りた際に不動産屋で記入した保証人の名前は”佐藤卓也”である。
 - 彼女が、住む土地を変える度に、卓也に送る手紙を蒼井優のモノローグが、”彼女の僅かではあるが、心の成長を表しており、良い。だが、卓也は、苛め続けられている・・。-

 ・ホームセンターで知り合った同じアルバイトの青年、中島(森山未來)はテキパキと彼女に仕事を教え、嫌みな上司(堀部圭亮)のあしらい方も、さりげなく教える。
  徐々に親密になる二人。だが、中島も少しづつ鈴子からお金を借りるようになり・・。
 - ここは、ミスリードされた・・。-

 ・そして、卓也も苛めっ子たちに、敢然と向かって行く。卓也からの手紙を読む鈴子の滂沱の涙。
 - 彼女の手紙が、卓也にも”何があっても逃げない”姿勢を取る決意をさせたのだ。-

<タナダユキ監督の、人間を描写する優しい視点が好きである。この作品でも、様々な人間が描かれるが、真の悪人はいない。
 現在の邦画界で、オリジナル脚本で全国規模の上映が出来る監督は希少である。タナダユキ監督はその一人である。
 今後のタナダユキ監督の、新しきオリジナル脚本による映画の上映を、楽しみにしている。>

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NOBU

3.0桃娘

2021年1月5日
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過剰な市中の悪意描写にはヘキヘキとさせられる。ゲームをリセットすべく、人生をリセットしようとする主人公には同情できぬ。リセットしたら仕事にありつけて、周りの気もひけてって、どれだけ若さを利用しているのやら。それでもやってけるのは社会が自分を支えているということ。ある程度、他の期待に沿って自分の社会的な役割を探ってみれば?とも思う。桃娘をやって見えてくる世界もあるのだが。
蒼井優の華奢な身体が大の字になっているのが印象的。森山未來との馴れ初めのくだりが良い。

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Kj

4.5邦画の良さがでてる作品

2020年11月4日
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幸せ

めちゃくちゃ面白い訳ではないけれど、どこか心に残る邦画の良いところを反映した作品だと思いました。

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MAMI

2.5・ねぎ太い方ですか、細い方ですか?(窓)ガラガラ、ガチャ、これでよ...

2020年9月25日
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さく

5.0自分探ししたくない旅

2020年7月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

萌える

2001年から2010年の邦画ベスト5(あくまで個人の感想)
2008年の作品
5作品のうち3作品(『花とアリス』『フラガール』『百万円と苦虫女』)が蒼井優主演作(フラガールの主演は松雪泰子だが実質的には蒼井優が主演)
どんだけ蒼井優が好きなんだよ俺
まっ偶然だと思いますけど
星一つ二つとか過小評価している人は気を衒っているだけなので鵜呑みにしてはいけません
まだ観てない人は必ず観ましょう
『フラガール』とか『スウィングガールズ』のような大衆受けするようなものではなくどちらかと言えば小劇場系だと思いますが隠れた名作です
DVDなどで何度も観ましたが映画館で観れなかったのが残念でならない

タナダユキ監督の出世作であり代表作
蒼井優の数ある代表作の一つ
2人ともこの作品で賞を獲得

蒼井優は若い頃から表情の芝居が細かい

百万円が貯まると引っ越す引越し魔の話

海に山にそして首都圏の地方都市

ロードムービーだがその土地その土地がどこか具体的な情報は本編にはない
個人的にはあった方がいいがそれほど重要ではないのかもしれない
ジャイ子がジャイ子な理由を思えばその土地のイメージダウンとか風評被害のリスクもあるし「とある土地」でいいんだろう

猫を勝手に捨てられた復讐で同居人の男の私物を全部捨ててしまいそれで前科者になってしまう女の子
それがきっかけで自分を知らない土地を転々とする
猫好きのためか彼女に強く共感し幸せになってほしいと応援したくなる
自分としては本気であの野郎を懲らしめてやりたいと怒りをこみ上げた
彼女のこの経緯をどう思うかでこの作品を楽しめるか面白くないかが決まると言っても過言ではない

入浴シーンがかわいい
からのピエール瀧ドアップ

「なんで帰ってくるんだよ」と姉を怒鳴るバカな弟だけど離れて暮らす姉と弟の絆が美しい

初めて観たときは彼氏役にもっと男前を起用した方がいいのではと思ったけど今観ると森山未来で良かった

「来るわけないか」
ラストも最高
重ね重ね書くけど名作です

当時それほどめじゃーではなかった若手の監督だったのですが名脇役がわりとたくさん登場します
多くの人がタナダユキの才能に惚れ込んだからでしょうか

蒼井優は結婚前男関係で悪い噂が絶えませんでしたがそんな記事を目にしたときいつもこの作品を思い出しました
何が魔性の女だよ馬鹿
タブロイド誌のライターもその記事を鵜呑みにするタブロイド思考のネット民も平等に価値がない

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野川新栄

5.0感動しました これこそ映画が果たすべき仕事です

2020年7月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

中盤までははすに構えて観ていたのに、終盤には心を鷲掴みにされていました
蒼井優という稀代の女優の為に当て書きされたような脚本のなかで彼女は物語と強烈にシンクロしています
心が震えました
名作中の名作中です
主人公は21歳
1987年生まれです
彼女もリンダリンダリンダの女子高生と同じゆとり世代です
その女子高生達のその後を描いているといって良いと思います
短大に進学したものの就職先はなくイタリアンレストランのホールのアルバイトをしています
それから色々あっての物語です

ゆとり世代へのエールです
彼女達はこのような暮らしを全国の各地でしているのです

ひとり暮らし
それも非正規の仕事で100万円貯めるなんて、並み大抵のことでは出来ません
やってみたら分かると思います
それがどれだけ大変な事か
やってみた事が無ければ分からない事かも知れません

だからファンタジーです
海の家、桃のの農家、ホームセンターでのバイト
それぞれ別々の人物のエピソードと思えば良いと思います
いろんな非正規の仕事をして、このように何とかして、暮らしている彼女達がいることに思いを巡らせて下さい

100万円を貯めて別の土地にいく
それは彼女達の現実を誇張した姿なのです

彼女達は今日もまたくたくたになってはたらいて眠るだけなのです

大学生の隠された真意は甘く 痺れました
しかし現実はシビアなのです
そんなに簡単には再会すらできはしないのです

そうです
これが21世紀の現実なのです
こうして彼女達は今もなおこのような生活をおくりつつ30代の前半にあるのです

1987年生まれの彼女は、ゆとり世代の先頭ランナーなのです
彼女の背中をみて、ゆとり世代の後輩である弟は強く生きることを学んだのです
ラスト近くでの彼はおそらく1996年生まれの12歳
2020年の今彼は24歳です
どんな青年になっているのでしょうか?

感動しました
これこそ映画が果たすべき仕事です

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あき240

3.5他者から逃れて生きる果てにみつけたもの

2020年7月19日
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鑑賞方法:VOD

両親、姉弟の4人暮らしの家庭から、姉がとある出来事から刑事告発されたところから始まるロードムービー。

姉は百万円を貯めたら家を出ていき、それから、百万円を貯めるたびに、引っ越していく。その土地での出会いと別れを繰り返していく。残された弟との手紙の交流。

他者から逃れるように、言わないことで渡り歩いていくことの難しさ。もっと心を開き、言うことで他者と向き合っていこうとする。

エンディングがありきたりでなく、現実的ですっきりする。蒼井優がハマり役。ゆっくり滑らかに動くカメラワークも効果的に思った。

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菜野 灯

4.0ブルーインパルスと飛行機雲と蒼井優

2020年5月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

今日は運良く昼休みの時間帯に、ブルーインパルスの見事な飛行を観ることができました。これは航空自衛隊が医療従事者に敬意と感謝を示すために行なったものです。
企業活動もまだそろりと再開したばかりということで、心なしか、コロナ前の東京よりも空の青さが濃く鮮やかに感じられました。
真っ青な空に糸を引くように記される白い飛行機雲。まるで宮崎駿監督の『風立ちぬ』のポスターのようでした。

で、この映画の主役は、色で言えば白がよく似合う(と私が思っている)蒼井優さんです。
正直、彼女の映画を特に意識して見たことはないのですが、『ペンギン・ハイウェイ』での〝お姉さん〟の声があまりにハマっていたのは、とても強く印象に残っています。

この映画では、『ペンギン・ハイウェイ』のアオヤマくんと違い、弟のような存在としてではなく、実際の弟との関係がひとつの肝になっています。
偶然見た姉のある行動が、イジメに遭う弟にとっての精神的な支えになるのです。

色々あって、蒼井優さんは、
〝百万円を貯めては、引っ越しをする〟
という行き当たりばったりなのか、計画的なのかよく分からない生活に入ります。

アパートの管理人とかアルバイト先から求められる保証人とかのことを考えると、この生活パターン自体、ある種のファンタジーなので、そういう前提を受け入れたうえで、蒼井優さんが醸し出す雰囲気に馴染めるという人にとっては、とても心地の良い映画だと思います。

私は勿論、そう思いながら見ていたので、姉を支えに健気に頑張る弟と、不器用だけど見かけとは違う芯の強さを演じ切る蒼井さんに、すっかり魅了されたのでした。

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グレシャムの法則

3.5見るの2回目。 100万たまったら次の土地で暮らしてみるという設定...

2020年5月10日
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見るの2回目。
100万たまったら次の土地で暮らしてみるという設定がおもしろい。

しばらくいると、何かしらに巻き込まれる蒼井優がかわいくて、エピソードもかわいい。

弟からの手紙とラストの森山未來がいい☺︎

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tomo

4.5女優 蒼井優が そこに生きている映画、かな

2020年5月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

カーテンを、若い娘が自分で作る。それって、ちょっと変。
ほとんど荷物は持たないのに、引っ越しのたびに、そのカーテンだけは後生大事に持って行く。そして、新居で丁寧につける。タナダユキ監督が、意味なくそんな描写をするはずがない。
この映画の味わいが、そうした些末にも宿っている。じんわりとにじみ出す。そんな感じ。

さて、監督は、どの段階でエンディングを思い描いたのだろう。
どちらに転ぶこともできた話の展開。
多くの人が普通に望むストーリーを、目の前のお皿においしそうに盛りつけて、でも違うもう一皿をつくり出してしまった時、どちらを客に出すのか。
タナダ監督は、自分が好きな方をお客に出しちゃった?

とびっきりの一皿を、いただきました。おススメです。

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マツドン

3.5自然体すぎる!

2020年4月30日
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苦笑が上手すぎました。
のほほんという雰囲気がありながらも、物語が無駄に長くなく面白かったです。

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あさ

3.5好きなテイストの作品だった。一人の女性のロードムービーだけど、最後...

2020年4月20日
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好きなテイストの作品だった。一人の女性のロードムービーだけど、最後自立していく強さが描かれててよかった。

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おれ

風刺ききまくり

2020年2月4日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

つい山下監督作品を連想。優れた作品だと思う。練りに練った筋立て。なぜ百万円
なのかに意味はない。鈴子は自分が魅力的なのを知っている。少し影がある分余計に。
どこに行っても絡まれる。百万円貯まるくらいの期間がちょうどいい。留まるに。
それぞれの職場でケッサクの展開。農家でのそれは爆笑してしまった。そのたびに
苦虫をかみつぶしたような表情。自然に身に付いたおかげで中島君にも見抜かれ
大笑い。鈴子は正直なのだ。ただし、最後にドーナツをかじりながら街を歩く
姿はムリありすぎ。何の暗喩なのかわからず。少しふてくされてみたくなった
とか・・・・。味のある作品だと思うよ。

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ググルググ

4.0これからの彼女

2019年12月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

大事なのはエンディングからであって、彼女が前向きに生きていく決意をするまでの物語。これからも百万円の旅は続くが、確実にそれまでとは違う出会いがあるだろう。そういう意味ではこの映画で出会った彼女に想いを寄せる何人かの男たちは気の毒。特に最後の彼とは結ばれて欲しかった。切なすぎるエンディング。
あと姉と弟の逃げている意味を一緒にしてはどうかと思った。いじめについては逃げていいと思う。学校に行かなくていいし、私立に行っていいと思う。

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いつこ

4.0終わり方がすごく好きな映画

2019年10月20日
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鑑賞方法:DVD/BD
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じろう

1.5気分が重くなる時間が長い

2019年10月13日
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理不尽な目にあってもハッキリと物事を言えず、苦虫を噛み潰したような顔でやり過ごす主人公。それは性分だから仕方ないと思うけど、言えない割に行動は犯罪者になるほど大胆で矛盾しているように感じました。100万円貯まったら次の街へ引越すというお話。やっぱり行動力はあるのなーとか、100万円貯まるの早いなーとか気になる点が。そして桃農園の田舎の人々が自己中過ぎて嫌悪感満載で私には合わないと感じてました。森山未來さんの演技はとても良かったのが救い。すっかり騙されました。

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夏

0.5無茶苦茶

2019年9月27日
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ストーリーもセリフもみんな無茶苦茶です。
全部捨てるとか。
百万円貯めるとか。
貯まらんと思うけど。
奇想天外でも無いな、手抜きなんだな脚本が。

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アサシンⅡ

3.5旅するように暮らしたい

2019年8月18日
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鑑賞方法:VOD

幸せ

11年前の作品にしては非常に先見性がある作品だと思います。今の時代家を持たない人が増えてきているので、鈴子はアドレスホッパーの走りなんですね。それに職場で深い人間関係を作らず風の様に去っていくのも、有期雇用の派遣労働や個人主義化している現代社会を映しているようでした。鈴子はなかなか行動力がある勇ましい女性で好感を持ちました。面白かったです。

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ミカ

5.0好みなので☆5。精神安定剤。

2019年3月21日
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2年前に初めて見て、そこからは映画の中で間違いなくいちばん好きになりました。
すずこちゃんという人間が実在するかのような気持ちになって見てしまう。彼女の考えにすごく共感して、勝手に分かりあって嬉しくなった。すずこちゃんの方がきっと私よりめんどくさい部分が少ないので、一緒にすんなと思われそうですが。
自分のことを何も知らない所で生きて行きたい、分かりすぎる。人間関係リセットしたくなる事が多いので、すずこちゃんの生き方は憧れであり実行できるところがかっこいい。働き始めて100万円貯めることを第1に目標にしたところも同じで、共感できることへの喜びが大きかった。ひとりが好きだし、誰かに好きとも嫌いとも何でも思われることが苦手なわりに、思考が似た人と分かり合えることは好きなので、自己肯定感満たしてくれるすずこちゃんとこの映画が大好き。自信なくなってつらくなってもう全部辞めたいって思ったら必ず見る。1人になれるけどひとりじゃないって思える。わたしは間違ってないって思っていいって思える。
細長い手足、華奢な体、ぼんやりした表情に、苦笑い。夏の匂い、素朴な家庭菜園、可愛らしい恋、すれ違いあっさり終わったみたいな関係、ドーナッツ。全部が生々しくて生き生きしてる。
弟だけは、心配で心残り。社会生活でどん底から立ち上がれるような気持ちになった時がいちばん危ない時期だと思うので...。最後の手紙でより不安が煽られ、弟の将来のしあわせを願うばかりです。
ラストの笑顔は爽やかで、思いっきり吸い込みたくなりました。本当に見られて良かった~これからもお世話になります。

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るろ

4.0あ、うんこ!くっそ~~♪

2018年12月4日
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鑑賞方法:映画館

 “かき氷を作る才能”とか“桃をもぐ才能”なんかよりも、貯金の才能が最も際立ってるんじゃないかと思える主人公佐藤鈴子(蒼井優)。アパート共同生活の失敗から人間不信に陥ったことや、自活することの証明みたいな要素もあったのだろうか。とにかく、100万円貯まったら次の見知らぬ土地へと移り住むという生活を繰り返すようになる。

 海の家では若い男に誘われるがさらりとかわし、山の村では“桃娘”に選ばれたけど辞退してしまう。他人と関わりたくないから転々としているのに、彼女の周りはどうも関わりたくてしょうがない状況になってしまうようだ。

 “自分探し”ではなくて、「むしろ自分を探したくない」と彼女は言う。しかし、生来の真面目さや必死で生きているように見えるところから、自分探しや運命の人と出会いたい本音の婉曲表現なのだろうと思われてしまう。鈴子が、普通の女の子に見えるが内なるパワーを秘めている雰囲気があることは、そのまま女優としての蒼井優の投影に他ならない。

 監督のタナダユキは『赤い文化住宅の初子』のときにどん底人生の中学生を描いてましたが、今回は拘置所に入れられ、前科者のレッテルを貼られてしまう主人公。近所の人の目や親の態度とかも、最悪にまでは至ってないのだ。だけど、彼女の弟・拓也は成績は良いが極端なイジメられっ子。ヘタすると、姉以上にヤバい状況に陥りかねないほどなのだ。一切の人間関係を断ち切ろうとする鈴子でも、拓也との姉弟愛はあったようです。

 絶妙な心理描写のある表情も多かったのですが、弟と手を繋ぐシーンと中島(森山未来)と手を繋ぐシーンがとてもよかった。自然に互いを求めるように手を触れる一瞬は、完全な人間不信ではないことを物語っている。

 人づきあいも恋愛も不器用な学生時代を思い出させてくれる映画でもあったし、世の中悪い奴ばかりじゃないと教えてくれる温かい内容。さすがにオチの部分は、自分でもそうしたであろうと考えていたから驚きはなかったけど・・・タナダユキは男心も理解してるんだな~と改めて彼女の才能を認めてしまいました。

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kossy