劇場公開日 2008年12月20日

「ロケは北九州が中心?こ、こ、小倉は少年探偵団・・・」K-20 怪人二十面相・伝 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ロケは北九州が中心?こ、こ、小倉は少年探偵団・・・

2019年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 小学6年生のときだったか、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを読み漁っていたおかげでクラスの読書冊数競争で1位をとってしまったことを思い出します。しかも、その実績を称えられ、実力が伴わないのに国語の通知簿が1点上がってたような記憶も・・・。それほど好きだった少年探偵団シリーズ。アニメも好きだったし、夏木陽介主演の『明智探偵事務所』も大好きだったのに、天地茂が明智小五郎役をやるようになってから興味が失せてしまいました・・・

 明智探偵や小林少年の人気とともに、ライバルの怪人二十面相も人気があった。変装が上手く、現金よりは美術品ばかりを盗み、殺人を犯さないというのが主な特徴。ただ、「大暗室」という作品では人を殺していると記憶しているのですが、誰も信じてくれなかった。そんな乱歩ワールドの世界観を利用したファンタジー、冒険活劇に期待度は増すばかり。

 今回の映画では、大戦を回避した、いわばパラレルワールドの日本。町は破壊されてないけれども軍が力を持っている様子で、軍警が幅を利かせている。戦火によって荒廃はしていないはずなのに、極端な格差社会によって路頭に迷う子供たちであふれている帝都。ある意味では社会派のような側面を持つ設定だ。原作の持つおどろおどろしい雰囲気を醸し出すためには理解しやすい大胆な設定変更も仕方のないことだったのかもしれません。

 サーカスの曲芸師である遠藤平吉(金城武)が二十面相(最初は鹿賀丈史)によってハメられ二十面相として捕えられるという展開なのですが、原作でも二十面相の正体がグランドサーカスの遠藤平吉だと明かす巻もある。それくらい原作とは交錯した部分もありながら、プロット上の仕掛けがあるものだから、明智の妻となるはずの文代が登場しないし、少年探偵団もさほど活躍しない。

 VFX協力に山崎貴の名があることもあって、映像表現は見事なもの。空中を自由に飛び回るシーンはまるで『スパイダーマン』のパクリのようで気に入らないのですが、松たか子が操縦するヘリコプターのおかげでかなりワクワクドキドキさせられました。彼女の存在は金城、仲村の演技の不安要素を払拭しておつりがくるほどの演技。序盤の笑えるシーンが間の悪さですべっていたのに、なぜか松たか子が笑わせてくれるのです。

 そんなこんなでかなり満足。続編の話題も飛び交ってるのも理解できます。金城演ずる遠藤平吉が本当の二十面相となって活躍する世界も楽しみだ。

kossy