劇場公開日 2009年12月23日

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「「スター・ウォーズ」以来のエポック・メイキング的作品」アバター(2009) マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「スター・ウォーズ」以来のエポック・メイキング的作品

2009年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

いろいろな作品からヒントを得た感はあるが、それはどの作品にもいえることでお互い様。この際、重箱の隅を突っつくようなマネは野暮というものだ。それぐらい面白い。
この世は、森羅万象、ありとあらゆるものは根幹で目に見えない大きな力で繋がっている。こうした東西を問わず昔から語られてきた観念をテーマにした作品は多々あるが、このテーマにこれだけ腰を据えた作品は見あたらない。しかもキャラクターが魅力的で、衛星パンドラの自然も美しい。
そのパンドラの地下資源を我がものにしようとする人間の傲慢が、無遠慮に自然のバランスを壊していくわけだが、人はもっと謙虚であるべきだ。今作では、肉体は魂を宿すための自然からの借り物と語っている。この世に生かしてもらっているという謙虚な考え方はどこの国の人にもある思考であろう。それでも諍いがなくならないのは、本来、人類のリーダーであるべき一部の人間にかぎって、その謙虚さを持ち合わせていないからだ。どこの誰とはいわないが、強欲な人間ほどトップに立ちたがる。
この作品は、SF的なメカやダイナミックな戦闘シーンで娯楽作のスタイルをとってはいるが、人種や環境など人類が抱える問題について、あらためて考えることを人々に提起している。元来、映画とはそういう力を持っているものだ。人類を正しい方向に導いてくれる、まさにナヴィ(Na’vi)族だ。

サム・ワーシントンは、目立った顔つきではないが、「ターミネーター4」以来、話題作に出演が続き、じわじわと存在感が出てきている。ゾーイ・サルダナは「スター・トレック」という大きなシリーズを手に入れて、ますます魅力的だ。「パブリック・エネミーズ」では粋な計らいをみせたスティーブン・ラングだが、今回は憎たらしいほど強く、最後までしぶとい悪役を演じている。悪役はこうでなくちゃ。

極度な3D画像は90分の鑑賞が限界と思っていたが、2時間40分もの長尺でも疲れないことが証明された。しかも、昨今の映画の3D化という時流のなかで、早くも見せ物的なだけの興行を駆逐した、ハイ・レベルな作品を世に出した功績は大きい。SFXを飛躍的に進化させた「スター・ウォーズ」に匹敵する、エポック・メイキング的な作品といえる。ジェームズ・キャメロン監督は今後2Dでは撮らないと語っているようだが、なるほどこの作品を観れば、ファンタジーものなどは3Dでないと物足りなく感じることだろう。
ジェームズ・ホーナーのスコアが若々しい。久しぶりの大作で腕が鳴ったか?
編集もいい。2時間42分という長尺でも、ダレがまったくない。数回あるフェードアウトも効果的。

マスター@だんだん