「原作もそれほどではないが、映画化作品も凡庸」そして誰もいなくなった(1945) naochan926さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5原作もそれほどではないが、映画化作品も凡庸

2022年9月27日
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知的

名探偵ポアロの出てこない、アガサ・クリスティーの異色作を映画化した本作、「巴里祭」の名匠、ルネ・クレール監督作品なので期待したが、凡庸な出来映えだった。
白黒だが戦時下のせいか、映像もいまいち。俳優の演技もいまいち。ルネ・クレールは名作「巴里祭」を撮ったのが30歳前後と早熟の監督で、本作は40代半ばと脂が乗り切った年代にも関わらず、ハリウッドの空気が合わなかったせいか、フランス時代のような輝きは画面からは感じ取れなかった。
原作と違うラストも私はあまり好きではなく、クリスティー原作映画(無実はさいなむ「ドーバー海峡殺人事件」も酷かった)を一通り観たいと思うマニアにしかおすすめできない。
やはり、アガサ・クリスティー作品の映画化の最高傑作は、ジョン・ギラーミン監督の1978年版、「ナイル殺人事件」にとどめを刺す。ミア・ファローと、ピーター・ユスチノフの演技が素晴らしく、原作から抜け出たような印象で心に残る。

naochan926