劇場公開日 2022年11月3日

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「「笑いと涙」に社会性を加味し始めた傑作喜劇」モダン・タイムス chakurobeeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「笑いと涙」に社会性を加味し始めた傑作喜劇

2013年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

幸せ

「モダンタイムズ」は1936年の作品であるが、今は当たり前の大量生産のための流れ作業が前提の工場生産の非人間的側面を認識していた(ルネ・クレール監督の1931年作品「自由を我等に」を参考にした、という説もある)。お気に入りの場面を思い出すと、「拾った看板を持って歩いていたらデモ隊のリーダーに間違われる」、「水の引いた川への飛び込み」、「深夜のデパートでのローラースケート」、「アルバイト先のキャバレーでの歌(「ティティナ」)と踊り」等々である。チャップリンは自ら生きてきたサイレント映画の世界に最後までこだわった。映画は世界中の人に楽しんでもらいたい。子供から大人まで楽しめるものにしたい。それには、見て分かるサイレント映画が一番であるはずだ。台詞は意味なく、不要だ。しかしながら、「モダンタイムズ」の最後で、チャップリンは自らの声で「ティティナ」の歌をうたった。けれども発した言葉は何語が不明の全くのでたらめとなった。世界人チャップリンは言葉の壁を無視したかったのだ。言葉が違っていても分かり合えると信じた。 しかしながら、いわば、パントマイムの世界で大きくなったチャップリンも時代の流れに逆らえず言葉を無視できなくなり、とうとう、チャップリンの「独裁者」(1940)の最後の場面で、全世界にあの有名な演説を発することになる。チャップリンの映画は総じて、音楽も素晴らしい。音楽的才能もあった人だ。
「モダンタイムズ」も、何度、繰り返し見ても面白い世界的古典映画の一つと思う。

chakurobee