劇場公開日 1976年7月3日

「今も昔も、情報こそが勝敗を別けるキー」ミッドウェイ(1976) kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5今も昔も、情報こそが勝敗を別けるキー

2020年9月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

エメリッヒ版『ミッドウェイ』観賞前に予習を兼ねてソフトで観賞。

70年代に流行ったいわゆるオールスター映画である。
チャールトン・へストンが主役ではあるが、三船敏郎を含めてスター大集合なのでそれぞれに存在感を出さなければならず、主役をフィーチャーしきれていない。かといって、スターたちがそれぞれに活躍するという訳でもない。ロバート・ミッチヤムなんてわざわざ出す必要あったかと感じるほど。

映像面も、実際の記録映像を随所にちりばめてリアリティを持たせているものの、他の映画からの借り物映像も結構あり、継ぎはぎ感が否めない。
日本側空母で艦載機の搭載魚雷を爆弾に積み替える場面は東宝の『連合艦隊司令長官 山本五十六』('68)の映像を使っていた。

主人公へストンの 息子が日系人の女性との結婚を望んでいるドラマ部分は、真珠湾攻撃がアメリカの日系人にどれだけ影響したかを示しているが、へストンは決して差別をしない公正な人として描かれている。
息子を気に掛けすぎていて、戦闘に集中できているのか心配になるが、立派にに米軍勝利に貢献する。

アメリカが日本軍の通信を傍受して暗号解読に注力したことが、圧倒的不利な状況だったこの一戦に勝利した要因だった。
一方で、日本軍は索敵機からの情報がうまく伝わらず、指揮を誤る。ここでは索敵機の無線が故障したことになっている。
細かい事実は不明だし、定説も生き残った人の証言が基になっていると思うので、様々な研究が進んでいる今となっては諸説あるだろう。
が、いわゆる天下分け目の一戦となったミッドウェイ海戦の顛末が、日米両方の視点で描かれていて見る価値のある映画だ。

軍人たちは、敵国人が憎くて戦っている訳ではない。戦っているのは運命の廻り合わせに過ぎず、ただ勝利することが正義だった。
両軍の指揮官はお互いの名前や戦歴は知っていても会ったことはなかっただろう。戦いながらも敵将をリスペクトしていた思いは、それぞれ相手側に伝わっただろうか。

kazz