劇場公開日 2024年1月26日

ノスタルジア(1983)のレビュー・感想・評価

全40件中、1~20件目を表示

4.5記憶の奥にある赤いノスタルジア。

2024年2月29日
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思い出話で申し訳ないが、この映画は30年くらい前、友だちの四畳半のアパートで友だちが持っていた擦り切れそうなVHSテープで観た。ほとんど何が映ってるか判別できず、タルコフスキーの映画なんでストーリーを追うことも至難の業だったが、奇跡にまつわる哲学的なファンタジーと捉えてやけに感動した。ノイズだらけの画面はすっかり赤っぽく変色しているが、それもまた、霞がかっった神話的な映像美を思わせて、心に焼き付いた。

で、30年を経て、4K修復版を鑑賞することができて、まあ驚いたのなんの、あまりにも鮮明になった画面はまったく赤っぽくないし、ストーリーが明確になった以外、ほとんど別物のように見えた。自分の中での神秘性は減ってしまったが、それでもやはり名作であり、さりとて自分の中ではもっと素晴らしい名作としてあの赤っぽいVHSが残っている。そんな経験も含めて映画だと思うし、誰もが心に自分バージョンを持っていていいのではないかと思う。

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村山章

5.0タルコフスキーのこと

2024年2月13日
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鑑賞方法:映画館

 『ノスタルジア』が日本公開されたのは1984年の春、初鑑賞から40年の時が過ぎた。再上映や特集などで何度か観ているがその回数は定かではない。母国を離れてイタリアを旅する詩人の“郷愁”をテーマにした『ノスタルジア』は、2020年公開の『サクリファイス』と共に、我が心に深く刻まれた作品だ。今回、イタリアのライシネマに保管されていたオリジナルネガと音声を基にフィルム鮮度のクオリティにレストアされた4K版を観ることができたのは至上の喜びだ。

 この作品には、一切の無駄を許さない純度の高い脚本があり、フレームに対する徹底したこだわりがあり、モノクロとカラーを使った精緻で繊細な感情表現がある。絞りによって色彩を浮き上がらせる撮影の妙、主人公の脳裏をよぎる心象風景は、完璧な配置による故郷の理想的なイメージとなって画面に映し出され、主人公の想いの深さを伝える。美術、情景、小道具、人々の動き、言葉のひとつひとつにまで、作家の強い意志が貫通している。

 1 + 1 = 1
 水滴になぞらえた自然に対峙する姿勢と思想の原理にも大きな影響を受けた。この呈示には、映画は、決して足し算では成立しないという、タルコフスキーの創作に対する原点が宿る。彼の講演を綴った「映像のポエジア:刻印された時間」(ちくま学芸文庫)に拠れば、映画監督には必然しかない。監督の前で、俳優はどこに立ち、何を見つめているのか。その時、心の奥底にはどんな想いがあるのか。映画の時間を生きる時、俳優はもはや彼でも彼女でもなく、映画の時間を生きる固有の存在としてフィルムに定着していく。幾重ものイメージがつなぎ合わされ、ひとつの物語に昇華されたときに映画が生まれる。

 その瞬間を逃すまいとする作家の妥協なき追求によって、綿密に計算された映像が形作られている。カメラアングルはもとより、フレームの中にあるすべてのファクターが、映画監督によって既に定められている。当たり前のことを実践することの苛酷。あくなき探求と思索が、結晶体のように純化した映画となって観る者を凌駕する。素朴でありながらも芳醇、匂い立つような画面には、こうでなければならないという作家の固い決意と、心を研ぎ澄ませれば感じとれるはずだという、観客への絶大な信頼に裏打ちされている。それは決して神々しいものではなく、単純な人間の生理に基づいた感覚を共有しようとする素朴な意志である。

 映画は常に開かれている。だから躊躇する必要はない。難しく考えるのもやめよう。映画館の大画面でこの類い希なる傑作『ノスタルジア』に向き合い、心が感じるがままに楽しもうではないか。

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高橋直樹

5.0巡礼とも呼びたくなるほどの幻想的で荘厳なひととき

2024年1月29日
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鑑賞方法:試写会

新たに生まれ変わった4K修復版を観た。が、本当に「観た」「理解した」と言い切れるのか。その答えに窮してしまうほど、私は相変わらず本作の空気、朝靄、魂、水の滴に包まれながら目の前を過ぎ去っていった荘厳体験についてうまく言葉にすることができずにいる。83年、祖国ソ連の土をもう二度と踏まぬと決めたタルコフスキーが放った、幻想と陶酔と狂気と寂寥の映像世界。私は初鑑賞時(学生時代、VTRにて)に灯した心の蝋燭を今なお携えながらこれからも126分の永遠と一瞬の往復を何度となく繰り返すのだろう。それはある意味、人生を賭けた巡礼であり、はたまた鏡の中の己を覗き込むような所業とさえ言える。人は誰もがアンドレイとドメニコという二つの側面を抱えながら生きている。自分が冷静かあるいは気が触れているのかなんて紙一重だ。だからこそ、ただただひたすら祈り続ける。その姿や絶えざる過程にこそ、生は色濃く迸るのかもしれない。

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牛津厚信

1.0

2024年4月30日
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鑑賞方法:映画館

難しい

全く理解出来ない
こんな無駄な時間を過ごしたのは初めて

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HAL1953

4.0武満徹、フリードリヒ、写真家・植田正治

2024年4月25日
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鑑賞方法:映画館

タルコフスキーが、1983年作り上げた映像美の極致、キーワードは「水」か。
武満徹の作品に「ノスタルジアーアンドレイ・タルコフスキーの追憶に」がある。1986年、タルコフスキーがパリで客死して後の1987年に作曲された、武満がより聴きやすい音楽に移行してからの作品。武満はタルコフスキー映画の中ではノスタルジアが一番好きだと明言していた。この映画を観ると、逆に彼の音楽がよく判るような気がする。彼の1966年の出世作である「ノヴェンバー・ステップス」は冒頭ハープで始まるが、水を意味しているのだと思う。二人は、きっと同じ感性を共有していたに違いない。
映画を観ていたら、鳥取砂丘の連作で知られている植田正治の写真が思い出された。砂丘に家族をまるでオブジェのように配置して撮った「妻のいる砂丘風景」(III)(1950年)など、特に日本とフランスで評価が高いようだ。
タルコフスキーが、家族を背景のなかにとらえた、植田と全く同じような映像が、この映画の中で出てきた。タルコフスキーは、当時のソ連から初めて離れてイタリアでこの映画を撮影したが、幾つか忘れることのできない故郷ロシアの情景があり、それを「ノスタルジア」として画面に定着させた。武満と言い、植田と言い、私たちの血の中には、僅かだがタルコフスキーと相通ずるものがあるのだろう。それは、なぜだろうか。
最後に、20年くらい前まで、日本ではよく知られていなかった「ガスパー・ダヴィッド・フリードリヒ」の絵画を思わせる廃墟の情景の中で、主人公、アンドレイ・ゴルチャコフが出てきた。忘れることができない映画である。
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この映画のポスターに使われていた情景は、最近、日本でも人気の高いデンマークの画家「ハマスホイ」を思わせる。わたしの希望としては、フリードリヒのような情景から選んで欲しかった。このポスターが極めて魅力的であることは理解する。タルコフスキーの映像の中から切り出されたことも間違いないのだが。彼を代表する映像は、より厳しいものであって欲しいと思う。

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詠み人知らず

2.0圧巻の映像美に酔いしれる作品

2024年4月7日
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鑑賞方法:映画館

タルコフスキー監督の作品は観たことがなく、4Kレストア版の劇場公開を機に本作を鑑賞しました。

正直、1/3くらいは意識が飛んでいたので、感想を書けるほどではないものの
映像美は圧巻でした。
どのシーンをとっても美しいというのは、観た劇場の支配人の言ですが、まさにその通りだと思いましたし、
独特の暗い雰囲気も作品とマッチしていて、私は好きです。

それから、印象的だったのは、エウジェニアを演じたドミツィアーナ・ジョルダーノの体当たりの演技ですね。
感情表現もしぐさも素晴らしかったです。

ラストはちょっと驚いたというか、有言実行するあたり、静謐さと激しさが同居していて
なかなかこういうラストはお目にかかれないので、心にぶっ刺さった次第です。

また機会があれば、タルコフスキー監督作品にチャレンジします!!

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ひでちゃぴん

2.0理解不能、

2024年3月19日
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鑑賞方法:映画館

難しい

抽象画か前衛書を観せられたような感覚。自分なりに解釈すると、これは作り手の心象風景、夢の中。多分に宗教的、手からの血とかパンとぶどう酒とか。しかしこれだけの尺が要るとは・・母の想い出とか出ると最早笑えてくる。
モノクロとカラーの交錯、置物のようなモブ、大きなイヌ、謎のカメラ目線、タルコフスキーに馴染むにはもうちょっと経験が必要か。それには一定量以上のカフェイン摂取が必須。

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トミー

2.5うつくしい

2024年3月17日
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画は美しい。
永遠、観ていられる気さえする。

しかし、分からない。
ストーリーが全く追えない!!!

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JYARI

🌧

2024年3月16日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

雨の音で徐々に瞼が閉じていく。

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やきたまご

3.0なんとなく観とくと映画通みたいな?

2024年2月25日
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鑑賞方法:映画館

ごめんなさい。
ちょっと、解らなかったです…。
わたしが、イタリア?やロシア??の哲学や
思想や倫理に明るくないからでしょうか…。

そんな中で思い出したのは、
20代前半に先輩に「タルコフスキーが良いから」と言われて
『惑星ソラリス』を観たはずなんですが、一ミリも覚えていません…。

でも、タルコフスキーを経験しておくと、
なんとなくイケてる映画通なような気がする…笑、
という年頃だったなぁ…などど耽りつつ…

ということで、ストーリーは、あまり理解できませんでしたが、
映像はとても美しく、俳優の方も魅力的だったので、眼では楽しめました。

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hkr21

5.0期待度◎鑑賞後の満足度◎ 映画は沢山“観ている”が「専門知識」が沢山ある訳ではないので難しい事は言えない。ただ、人間の本源=母体の羊水(水のイメージ)への『ノスタルジア』を描いている様に感じた。

2024年2月18日
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鑑賞方法:映画館

①映画ってやっぱりこれくらいの映像美でとって欲しいよな、というのが最初の感想。
冒頭のショットなんて絵画で言えば殆ど名画級?

その他にもそのまま切り取ったら絵になるようなショットが一杯。

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もーさん

3.5ホームシアターが趣味の方は鑑賞し甲斐があるのでは?

2024年2月18日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

 昔から気になっていたので鑑賞しました。
最初からラストまで緊張感があり内容の割には長さを感じませんでした。
芸術的な映画で構図や演出は独特の世界観があり、ミニシアター系の映画や芸術性の高い映画等を好み方であれば満足される作品と思います。

別件ですが今回の上映は4K修復版なのですが鑑賞した映画館が失礼ですが近代的な物では無く、特に館内の漆黒度低く壁がブラウン系のグレー色で画面が明るくなると黒色が浮いてしまうのが残念でした。実は未視聴録画済みBD持っていました。NHKBSで2017年10月に放映されており、翌日自宅でも視聴しました。絶対的な好条件での鑑賞ではありませんでしたが、やはり映画館の4K版の方が輝度が高いと思いました。

ホームシアターを趣味にしてる方で当作品がUHDBDが発売されたら是非入手して機材の調整等をしっかりとすればこの作品の芸術性がさらに上がるのではないでしょうか。

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ユメノトチュウ

5.0アンドレイ・タルコフスキー監督の名画。 内容は説明不要ですね。 1...

2024年2月3日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

アンドレイ・タルコフスキー監督の名画。
内容は説明不要ですね。

19XX年ころに何度か見たのですが、
映像の美しさ、物語の重厚さ
この作品こそは、あえて4K高精細にした意味が、強く強く伝わりました。

あらためて、アート的最高峰ですね👀

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woodstock

3.0さっぱりわからない

2024年2月1日
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途中寝ました 夢?

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hyvaayota26

3.0静か 退屈 眠い 意味不明

2024年2月1日
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鑑賞方法:映画館

いま映画館で上映中の『ノスタルジア 4K 修復版』を観賞しました。

旧ソ連の巨匠、アンドレイ・タルコフスキー。

タルコフスキーの映画は、ほとんど観てますが、この作品は自分の中では下の方(笑)

静かで退屈で眠くなって、ストーリーも何を言いたいのかサッパリわからない(笑)

1番最後に、ヒントになる一文が出るけど、なるほどね…と思いました。

ヒントを知ったうえで再観したら、評価が変わるかも…

1回観ただけじゃ理解できないと思う。

タルコフスキーの他の作品を思わせる部分があって、

デヴィッド・リンチみたいな展開は『鏡』っぽいし、

いくつかの、カットやシーンは『ストーカー』っぽい。

『鏡』も『ストーカー』も好きなんだけど、この作品にはガッカリ(笑)

でも、タルコフスキーの特徴である、水を美しく繊細に芸術的に使った表現は、良かったです♪

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RAIN DOG

4.5タルコフスキーの洗練された映像美

2024年2月1日
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この美しさは一体何なのか…。

絵画の連続のような美しさです。廃墟もゴミも汚泥も、一瞬一瞬が芸術作品で、スクリーンで見ると衝撃的でした。

映像美によって描かれるのは人間の苦悩で、そのシビアな対比も心に刺さります。

鑑賞してから数日経ちましたが、世界観から抜け出せず、まだ余韻にひたっています。

ずっとぼんやりしてはいられないので、感想を書いてけじめをつけなくては。

映画館で見られて本当に良かったと思える作品でした。

(ネタバレ含む感想はブログにて)

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ほりもぐ

5.0今更ながらに…

2024年1月30日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

タルコフスキーの作品はとても美しく、細部にまで啓示に満ちている。私たちはこの現実を理解し、きちんと自立した精神で社会を見詰め、次世代に手渡す責任があることをきもに銘じておく必要がある。無責任が罷り通る世の中であっても、気付いた人たちから襟を正して、大人である自分自身の人間的な責任を果たしてなければならない。私たちの責任を果たすためにも、宗教が生まれたのだと私は思う。バリエーションの違いはあっても、数多ある宗教とは自分自身の姿勢そのものではないだろうか?

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shanti

3.5【難解なる名匠・タルコフスキー監督作の中では、比較的に分かり易い監督自身の想いを描いた作品。】

2023年11月23日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■通訳を伴い、霧深いイタリア中部を旅する詩人・アンドレイ。
 彼は自殺したロシア人音楽家・サスノフスキーの取材のため、モスクワからこの地にやって来ていた。旅も終わりに近付いた頃、アンドレイはある温泉町で人々から変人扱いされている老人に出会う。

◆感想

・相変わらず難解なストーリーである。
 - だが、この作品に魅入られる自分が居る。-

<今作は、ソ連を追われたタルコフスキー監督の想いを込めた作品である。間違いなく秀作であろう>

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NOBU

5.0「死」への諦念を抱く、画家的・詩人的タイプの琴線に静かに触れる

2022年12月20日
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祖国に母と妻、娘と息子を残し亡命した詩人。(設定では亡命ではないが、後のタルコフスキー像を投影し)
世界の滅亡を憂い妻子を7年家に閉じ込めた挙句、その妻子に愛想をつかされ捨てられたインテリ。

共に初老の哀しい男が「火」によりそれぞれ命の灯を焼き尽くすことになる芸術的悲哀劇。

これで五度目くらいの視聴となるが、「絵」の素晴らしさに毎度心打たれると共に、今回ようやく上に書いたストーリーが明確化し、ジワリ心に浸透。

自分が死ぬまで何度見ることになるのだろう? と苦笑う

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resuwisshu311

4.0大人しめのタルコフスキー

2022年7月23日
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鑑賞方法:映画館

奇抜な演出よりも荒廃した世界観に陶酔する。モノクロ/カラーの使い分けと水の映し方の流麗さが際立つ佳作。

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御納戸色