天使の涙のレビュー・感想・評価
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ONLY YOU
エンディング曲が象徴するように、独特の斜め上を行くセンス感が冴え渡る作品。
ストーリーで納得させる内容ではなく、兎に角映像美、撮影技法、カット毎のシズル感等々、ハイセンスでスクリーンから訴えかける映画は、ウォン・カーウァイ監督唯一無二といってよい代表的アジア作品であろう。
登場人物の奇抜な設定と、群像劇からそれらのストーリーを混ぜ合わせる構成も、その一歩間違えば駄作になる危険性の"キワ"を熟知しての映像を作り得る天才であると絶賛する。鑑賞後の心境は決してストーリーには向かわない。この感性にやられてしまうのではないだろうか。映画のマジシャンである。
恋する人は天使さ
"ウォン・カーウァイ 4K" で鑑賞(2K上映・字幕)
ウォン・カーウァイ監督作品、今回が初鑑賞でした。
アップを多用するカメラワーク、シャッタースピードを落として捉えられた香港の街、時折挟まれるモノクロ映像など、おしゃれで素敵で幻想的で、まさに「芸術」だなと思いました。
ひとつの映画の中にふたつの物語があり、それらが殆ど関わり合い無く進行して最後に漸く、ちょっと交わる…
斬新な語り口だなと思いました。
殺し屋とエージェント、金髪女性との三角関係と切ない別れを、際どく淡く描いていたパートも良かったですが、個人的にはモウ(金城武)のパートが好きだなぁ、と…
遅い初恋と失恋(心情を髪色の変化で描いた手法、ステキ過ぎる。それが撮影時の偶然の産物を使った演出と云うのもすごい)を経験したモウが、父親との突然の別れによって、自分がもう子供ではいられないと悟るシーンが感動的でした。
ふたつのパートに通底していたのは、恋は純粋すぎる心の動きで、誰でも天使みたくなってしまう、と云うことかと…
だからこそ、男も女も恋心の前では驚くほどピュアになり、嬉しさであれ悲しみであれ、流す涙は美しく頬を伝う…
モウとエージェントがバイクにふたり乗りで疾走し、トンネルを抜けてふと覗いた空の解放感がとても印象的でした。
恋は人を前進させ、生き方そのものまで変えてしまう、とてつもない力を持った感情なのだと、改めて感じました。
冷たくて、悲しくて、孤独なシーンが多かったのだけれど、モウがお父さ...
冷たくて、悲しくて、孤独なシーンが多かったのだけれど、モウがお父さんを写したへたくそなホームビデオがとても暖かった、
毎日大勢の人とすれ違うなかで、偶然、に、関係性を持った人たちの物語。みんな傷ついたけれど、モウがものすごい速度で走るバイクに乗せて、きっと、またちがうあした、に連れてってくれる。もう、会うことはないかもしれないし、会っても覚えていないかもしれない。だけれど、そのとき、そこにあったふたりの空気、温度はほんもの、なのだ、
ウォンカーウァイ4Kレストア版、これにて5作品見終わり。どの映画も、映像として、とてもすきだった。あと、ずっと耳から離れてくれない音楽たち、
金城武の演技
「恋する惑星」のレビューで対になっていると読んだのでこちらも初観賞。喋れない金城武の奇矯な行動が最初はウザく感じられたが、父親とのやり取りのあたりから次第に愛おしく思えていた。(モノローグはあるものの)身体表現だけで気持ちが伝わってくるのは、演技とカメラの切り取りのうまさだろう。
殺し屋のエピソードとのクロスオーバーや「恋する…」からの引用具合もいい塩梅で、両作合わせて作品世界での群像劇感が醸し出されている。個人的にはストーリーのまとまりはこちらが上だが、好みは初見のインパクト込みで「恋する…」の方かな。
冒頭の殺し屋と女のツーショットに、最初期の「水○どうでしょう」の前枠後枠みを感じて笑ってしまった。(もちろん逆で、WKWのオシャレ感が時代を席巻していたのだろう)
ネオンの香港で暮らす5人の若者たち
5人の若者たちの視点を描いたこの映画。
殺し屋(レオン・ライ)、エージェント、失恋女、金髪女、そして口の聞けない男(金城武)。
それぞれが交錯する中、芽生え始めた恋。 ラストの金城さんと失恋女のバイクシーンが切なく感じました。
ウォン・カーワイのゴールド
スタイリッシュでピュアな作品だ。
恋をすると女は皆、天使になるのだろうか。
女たちの恋する心は天使のようにピュア。
殺しのエージェントを稼業にしていても、天使のような金のクルクルパーマの派手な頭で遊び人を気取っていても。
黒髪の平凡な女が人を信じすぎて金髪アレンに彼氏を横取りされても。
3人とも簡単には諦めきれない位に一途。
そして、恋を失い天使は涙を流す。
人の店を勝手に開けて夜中に営業する変な稼業をしているモウの遅れ馳せの恋もとても純粋だ。
黒髪の彼女を乗せてサッカー場までバイクでひとっ飛び。試合が終わって照明が落ちるまでの短い恋。
モウにアイスクリームを大量に食べさせられたりする毎回ターゲットにされるヒゲ男は気の毒だが、めちゃくちゃコミカル。大家族でアイスクリーム屋の車に乗って疾走するシーンが素敵だ。
モウが豚の背中に乗ってマッサージするシーンも。
何よりモウとお父さんとのさり気ない日常が微笑ましい。モウが撮ったホームビデオの映像はグラグラ揺れてぶれまくっているけど、ビデオの中のお父さんはとてもいい笑顔だ。ブレてるから余計に素敵なんだ。
モウにビデオの楽しさを教えてくれた居酒屋の斉藤さんありがとう!
モウはお父さんの前ではいくつになっても子供だけど、遺品を整理していて初めて大人だったと気がついたところも好き。
金城武は口がきけない設定になった分、恋する惑星よりも面白い演技をしている。
パイナップルの缶詰の食べ過ぎの設定や、平凡だった女の子が変身してスチュワーデスの制服で現れた時にはくすりとさせられた。
エージェントの女は強そうに見えてもやっぱり女。
モウに送って貰うバイクの背中で刹那の温もりを感じる。この終わり方がめちゃくちゃおしゃれだなー。
エンドロールが終わっても、OnlyYouが耳について離れない。
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