鉄のカーテン

劇場公開日:

解説

カナダにおける原子力秘密漏洩事件の映画化で、オタワのソ連大使館員だったイゴール・グーゼンコの実話に基づいて、メルトン・クリムスが脚色を執筆し、「消え行く灯」「翼の人々」「母」などのウィリアム・A・ウェルマンが監督、「三十四丁目の奇跡(1947)」のチャールズ・G・クラークが撮影した。主演は「ローラ殺人事件」と同じくダナ・アンドリュースとジーン・ティアニーで、助演はオペラ出身のジューン・ハヴォックをはじめ、「幽霊と未亡人」のエドナ・ベスト、ベリー・クローガー、ステファン・シュナーベル、ニコラス・ジョーイ、エデュアール・アランツ、フレデリック・トセレ等の新顔が多い。音楽はショスタコヴィチ、ブロコフィエフ、アラム・カチャチュリアン、ミヤスコウスキイ等のソ連音楽家の作品から抜粋している。

1948年製作/アメリカ
原題:The Iron Curtain
劇場公開日:1949年9月

ストーリー

赤軍中尉イゴル・グーゼンコは、秘密命令を受け、戦線を退いて特別訓練を受けた。彼は軍服をぬぎ、カナダのオタワのソ連大使館へ飛行機で飛んだ。同乗したツリゴリン大佐、クーリン少佐等と、暗号係としての彼の任務について話し合った。オタワに書いたグーゼンコは夢想もしなかった自由と繁栄の世界を初めて知った。彼は大使館の女秘書カラノヴァと知り合ったが、彼女が秘密警察官一員で、グーゼンコの祖国に対する忠誠を監視するために接近していることは少しも知らなかった。それから数ヵ月後、妻のアンナが幼い息子のアンドレを連れてオタワに来た。アンナも物の豊富にあることと、自由な空気に驚くと共に、祖国では味わえなかった親子3人だけの楽しい家庭を初めて持つ幸福を喜んだ。グーゼンコの仕事はモスクワから来る大使館あての暗号電報を訳すことであった。彼は仕事を続けているうちに、カナダ政府の仕事について、秘密調査を大使館が命じられていることを知った。真の民主主義の何たるかを初めて知ったグーゼンコは、彼の祖国のソ連が、連合国の利益を私せんとしていることが、はたして正しいかどうか疑わざるを得なかった。グーゼンコは共産党支配下の祖国で息子を育てたくない気持ちになり、それにはアンナも同感であった。しかも祖国は友好国に対してスパイ行動をしているのだ。モスクワの帰還命令を受けたグーゼンコは、自分が扱っていた謀報関係の書類をたずさえ、アンナと息子を伴ってカナダ政府へ出頭しようと決心した。彼は最初に新聞社を訪れたところ、編集長は司法省へ行くべきだと教えた。司法次官に会って書類を見せると事の真疑如何、その重大さに大いに関心を持ったが、書類が真実の物ならカナダ警察が身柄を保護するということであった。グーゼンコ夫婦が不安と共に重要書類が紛失したことを知った大使館は大いに騒ぎ、秘密警察主任ラネフはツリゴリン大佐、ブシュキン等と共にアパートへやって来た。ラネフはグーゼンコの行動と書類の行方について尋問を始めた。グーゼンコは最早、自分達の生命も危ないことを悟ったが、書類の在所については沈黙を守った。ラネフが部下に合図して暴力を用いようとした時、カナダ警察の1隊が飛び込んで来てグーゼンコ親子3人を保護すべく連れ去った。こうして原子力秘密を盗み出そうとするソ連のスパイ活動が明るみに出た。それから数ヵ月、カナダ当局の活動によって18名のスパイが検挙された。その裁判で、グーゼンコは証人席に立ち、有力な証言をした。そして10名が有罪の判決を受けたが、その中には英国の知名の科学者もおり、原子力や軍事及び工業上の重要秘密を売っていた。グーゼンコ夫婦はカナダ政府の保護により、自由と平和の国で、親子水入らずの幸福な新しい生活を始めることとなった。

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