劇場公開日 2017年4月29日

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「面白かった。」スペシャリスト 自覚なき殺戮者 Murder .incさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5面白かった。

2017年5月5日
iPhoneアプリから投稿

面白かったとは言ったが、映画としては…と言うか映画と言うにはほど遠い、ただの記録映像といった感じだった。
あくまでも内容に興味を示しただけ。
ただ、現代の俳優が演技で表現したのではなく文字どうり記録映像なので実際の様子を知ることができるのはいいと思った。

内容はエルサレムの裁判の様子をそのまま翻訳しただけ。(ナレーションも無い)
自分は鑑賞する前にアイヒマンの来歴を少し調べていたので理解しやすかったが、本編が第七回公判から突然始まったこともあり、これは予習しておいて良かったと…

正直な感想は、アイヒマンの人物像があまり掴めなかった。腑に落ちないという事。
彼は自分は悲観主義だと自称していたがその時の傍聴席からの反応を見ていると果たしてどうなのか…
また、アイヒマンは終始「命令だったから…」とか、「従順なんだ」とか、どうも要領を得ない受け答えばかりで、邦題にもあるように自覚が無いように見えた。
一方で「私は上官の命令に従うことに精神的な満足感を得ている。」「もし「お前の父親ば裏切り者だ」と言われ殺すように命令されても従うだろう」とか、「私の罪は従順だったことだ」とか、如何にもな発言があるようだが、どうにも逆らったら怖いだけなんじゃ無いかと…
現に「軍人である以上は命令に従うことが義務である。当然、逆らって自殺するも良し」とか言ってたし。
裁判の最後の方では内容の核に触れる質問も増えてきた。
本当に命令されただけなのか?
命令を断ることもできたのでは?
自分の意思では無い?
結局最後はこれらに頷いた訳で、このあと処刑されるのかと。

これは映画とはあまり関係ないが、アイヒマンは処刑される直前、言い残すことはないか問われたとき、
「ユダヤ教徒になりたい。これであと1人ユダヤ人を殺せる。」と言う逸話も、あるそう。

Murder .inc