劇場公開日 2002年3月23日

「激動の中を活きる。」活きる ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0激動の中を活きる。

2020年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

なんとクールな主役葛優(Ge You)と、この男優のことを思った。
麻雀で身上を潰してしまうだらしない賭博師もぴったりだし、趣味だという影絵芝居の歌も上手いし、辛辣な生き方も上手い。妻や子供への思いやる姿も天下一品だ。最初、この主役は薄気味悪いと感じて好感をもって見ていられなかったが、国民党と共産党が戦う中で人が違ったように成長していって、その後はたくましくクールだなあと思ってしまった。
勿論、妻役ゴンリーは当時の有名な女優だったし、こういう役がぴったりだ。この映画は2度目なので他の角度から見ることができた。最初は、内戦、日本の侵略、文革と政治な面に目が向いたが、文革の中で、生き残れなかった、影絵芝居を燃やす娘を見ている主人公の口惜しさがよくわかった。それに、影絵が入れてある箱だけをベッドの下に隠しておいたのもいいし、それが、孫の飼うひよこの檻になったのも、自分の大切にとっておいたものが、孫のために役立っていくのが微笑ましい。
主役は妻を含めての全てのもの失った時、初めて大切なものは何かに気が付いた。金は借りられなかった、趣味の影絵芝居がかれの功を成した。庶民に喜ばれ親しまれ自分の生き方を見つけ出した。そして、その話はただの影絵芝居だけでなく生き抜くために共産党によりになったりしたが、不幸にも、最後は封建社会をぶち破る共産党の餌食になった。
ある日のことだが、春生(主役の息子をあやまって死に導いたが、以前の戦友)が資本主義者というレッテルを貼られた。彼の妻は自殺、春生も死のうとしていた。自殺の前に、主役の家族に償い(全財産)を持ってきた。妻役ゴンリーは夫と春生との会話を聞きつけて、外に出てきて、中に入れと。息子の死で春生を長く許せなかった妻が、ここで、家に入れというが、この言葉が春生を許したと思う。思わず嗚咽。

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