劇場公開日 1980年4月5日

クレイマー、クレイマーのレビュー・感想・評価

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4.5見えない家族戦争

2011年6月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

父親のしつけ 母親との別れ 色んな問題を背負う小学生

とても単純なストーリーがために最後の終わり方はものすごい衝撃だ。家族の亀裂に気づかない父親のせいで夫婦が別れる。気づかないだけでなく家族が幸せだと幻覚を見ている最悪の父親。それに堪えられず子供を置いて逃げ、後になって子供を奪い返そうとする最悪の母親。そんな二人にとって息子のビリーは天使のような存在。これまで人間が築きあげてきた家族の中で何の問題もなく何の言い争いのない家族等いない。この映画を見ると改めて家族の愛が痛いほどわかる。素直な子供のリアクションがストーリーの軸になっている。がゆえに子供を中心に見てしまう。この映画の主役はむしろ人ではなく家族が主でありそれを上手く脚色したスタッフは優秀。この映画のテーマは"愛の延長線上にある対立"である。家族の愛は素晴らしいと伝えたいがためラストシーンは結果うんぬんより結局家族愛は何にも壊せないという表現であろう。

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トーレス

5.0名作たる所以は、ホフマン、ストリープのアドリブが連発する凄すぎる演技の賜物。

2010年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 本日金曜日まで、MOVIXさいたまで1000円でリバイバル上映されています。なお、来週上映は『レインマン』でこれも見逃せません。
 79年のアカデミー賞をほぼ独占した名作。離婚と養育権という、現代アメリカが避けて通れない社会問題をハートウォームな人情劇を通して描いた80年の代表する作品です。本作が高い評価を受けているのは時代性を捉えた脚本だけでなく、ホフマン、ストリープのアドリブが連発する凄すぎる演技の賜物です。特に“フレンチ・トースト”と共に、絶対的母性を感じさせるトップ・シーンのストリープの横顔の美しさが印象深かったです。
 最近のストリープしか知らなかった小地蔵にとって、彼女の若くて美しい姿が新鮮に映りました。

 本作は後半の養育権を巡る裁判沙汰が山場に設定されていますけど、やはり見せ場は、前半の夫テッドが7歳になる子供ビリーの子育てに奔走する奮闘ぶりが見物なんですね。
 元々は、広告代理店の腕利きプランナーで、幹部社員として重責を担っていたのが、離婚後、ビリーの子育てに追われるようになってからは、プレゼンに穴を空けて、クライアントに逃げられるという失態ぶり。

 子育てだって、そう簡単ではありません。
 離婚するまで、ビリーのことを妻のジョアンナに任せきりだったので、父親としてどうビリーと接していいか分からず、ついつい強引に叱ったり、ちぐはぐな関係でした。
 会社を首になってまで、ビリーの世話を優先させるテッドに少しずつビリーも心を開いていきます。初めて父子が心を通わせて、抱きしめ合うところは、ホロリとさせられました。

 それなのに、一方的にトンズラしていたジョアンナが突然戻ってきて、ビリーの親権を主張。母親なのに、なんで子どもを置いて出て行くのかしら、絶対に考えられないわと思われるでしょうけど、涙を流しっぱなしにするストリープ演技から、ジョアンナはずっと精神が不安定な状態になっていたことを覗いさせてくれます。身勝手ではありますがね。

 そんなジョアンナではありましたが、あっさり勝訴してしまいます。裁判所の裁定は往々にして、母親の方を持ちたがるものです。判決で決められた別離の日が来て、テッドがビリーに涙ながらに別れを諭すシーン、これが堪りません。とても切なかったですぅ~(:_;)
 人間としてでなく、お地蔵さんの魂として、なんて離婚って罪作りなんだろうと思いました。こんな罪作りなことはあってはいけないですよね。

 しかしその後ビリーを引き取りに来たはジョアンナは、テッドとビリーの絆の深さを感じたのか、急に泣き出して、「ビリーの家はここ(父親の家)よ」と言い出すのです。落語の人情噺『芝浜』のオチにも出てくることですが、やはり「子は鎹」なんですね。

 これから結婚する人、そして今倦怠期にある方には、ぜひDVDでレンタルしていただきたい作品です。お子さんのためにも、離婚だけは早まって欲しくないですね。

 いつ何時あなたさまが、ジョアンナのように「私はいつも誰かの妻であり母親であり娘であった。自分というものがない」と悩み出すか分からないほど、現代は愛に飢えた孤独な世の中になってきていますから(^_^;)

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流山の小地蔵