劇場公開日 2020年2月1日

「自由の国アメリカは幻想」イージー★ライダー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自由の国アメリカは幻想

2023年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1969年公開のアメリカ映画。
監督はデニス・ホッパー。
製作・ピーター・フォンダ。
デニス・ホッパーは脚本にも参加。
製作費はたったの34万ドル。
興行収入は全世界で6千万ドル。

《ストーリー》
コカインで儲けた大金をオートバイのタンクに隠して、アメリカ大陸を
大型バイクで気ままに旅する2人のライダーの運命を、
広大なアメリカの風景と背景に描く。

一世を風靡した映画で、映画界をアッと言わせる新しさがあった。

ヒッピー文化が盛んだった当時のアメリカ。
ヒッピーのコミューンも登場する。

なんといっても2人の乗る大型バイク。
キャプテンアメリカとのあだ名のワイアット(デニス・ホッパー)が
乗るのは1200ccのハーレーダビッドソン。
相棒のビリー(ピーター・フォーク)の愛車はチョッパー。
ビリーは星条旗柄のヘルメットと皮のジャンパーには同じく星条旗が
縫い付けられている。
このビリーの姿は余りにも刺激的だ。

ラストを言えばワイアットとビリーは運転中に
向かいから来たジープから
ライフルで狙撃されて呆気なく殺されてしまう。
この国は「殺しも自由だ」
ワイアットは、言っていたっけ・・・
邪魔者は虫ケラのように排除する。

目障りだから?
長髪だから?

なぜ、目障り、とか、
長髪だとか?
自由だから?
の理由で殺されなければならなかったのか?
(ヒッピーが嫌われる背景は描かれないが、色々あっただろう?)

カリフォルニアからルイジアナ州ニューオリンズの旅は、
モーテルに泊まるのも断られた、レストランでも無視され、
野宿やヒッピーのコロニーで雑魚寝する。
シャワーも浴びないのに子綺麗な2人。

アメリカ大陸を気持ち良さげに走る彼らをと並走するもように
ステッペンウルフやジミー・ヘンドリックス、
ロジャー・マッギンの曲がいい感じに流れる。

ラストの主題歌「ワイルドでいこう」(BORN TO BE WILD)は、
ステッペンウルフの作曲。

ボブ・ディランが楽曲の提供を断ったという。
額に汗して働く労働者の側に立つボブ・ディラン。
コカイン密売で自由を謳歌する男たちの映画に加担しなかったのは
英断!!
さすがに筋は曲げない男である。

琥珀糖