劇場公開日 1957年10月1日

喜びも悲しみも幾歳月のレビュー・感想・評価

全12件を表示

5.0美しい映画

2023年10月13日
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何が「美しい」のか、今の自分には上手く説明できないように思った。中盤あたりから惚けてしまっていた。しばらくそっと大事にしまっておきたい、久々にそんな風に思える作品でした。

蛇足で印象に残ったことをいくつか。木下作品を見ていると、構図の中に妙に存在感を放つモノが配置されていて、絶妙なトーンを与えている画(分かりやすい例を挙げると「永遠の人」のラストの土間に置かれた冷蔵庫とか)が印象的だけど、本作は風景にしても屋内にしてもそうした画面が多くあったように思えた。
また、東京のレストランに招待されたシーンで娘が料理を取り分ける時の目線で男女関係を匂わせるショットは木下作品ではあんまりない演出に思えて印象的だった。セリフにしても本作は割りと前のシーンや後の展開の含みをもたせたものが多く、観客に対して丁寧につくられた印象だった。

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抹茶

3.5おいら岬の灯台守は

2023年8月8日
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戦争を挟む激動の時期を共に過ごす夫婦と周囲の人々の姿を照らす。戦争は57年の作品であれば映り込むことも必然の社会背景でしかなく、人のふれあいやぶつかりを淡々と描いていく。普通の夫婦喧嘩だったり近所づきあいだったり、しかしそこに生きる人の思いが混じり合い、しみじみと人生を考えさせてくれる。上映当時はさらに同時代の感慨をもって見たものと思う。
自らの境遇を呪い病む隣人、近くで起こる不幸、意外な形で降りかかる災い。ただただ受け入れるしかない境遇も、涙を枯らして次の日を迎えていくしかない。

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Kj

4.0日本と日本人の生きる力を美しく描いた木下監督の本領

2020年7月28日
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鑑賞方法:TV地上波

木下惠介監督の佐田啓二と高峰秀子の両名優を使っての理想の夫婦像。全編日本の自然の美しさと日本人の汚れなさを描いて、木下監督の本領が文句なく表現されている。

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Gustav

3.0灯台守

2020年3月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2018年12月29日 #喜びも悲しみも幾歳月 鑑賞
僕には灯台守の仕事は無理だと思いました。理由は離島以上に狭い世界のようですから。あの人間関係には耐えられません。

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とし

5.0人間の人生の縮図がここにあります

2020年1月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

号泣しました

灯台守の世界は特殊な職業かも知れません
しかし、終盤に主人公夫婦が語るように、現代では普通の勤め人であっても今や海外へ赴任していくこともある世の中です
海外でなくとも、主人公夫婦のように全国を転勤して引っ越し続きなことは当たり前
子どもの就学の為に単身赴任する事も普通のことです
劇中では別居と呼んでいます
単身赴任という言葉がまだ無かったのだと思います
それだけ夫婦や家族が別れて暮らすことは異常な事だという意識があったということです
逆に言えばその異常な事が普通の事になっている現代が異常と言うことなのだと思います

灯台守家族の異常な生活の半生記
それは特殊なようで実は普遍性のある半生記でもあります
極端で過酷すぎるだけなのです
ずっとずっとマイルドですが、日本の端から端に辞令ひとつで転勤していくサラリーマンの世界と変わりはありません

妻や子ども達にどれだけの負担を掛けてきたのか、今更ながらに胸が痛みました

大都会から大都会の転勤なんて、確かに灯台のに比べれば安楽過ぎて大したことではありません
しかし知らない土地、耳慣れなない方言、友人も、知り合いも、親戚も誰もいない土地
自分は仕事に出れば転勤先でも同じ会社でしょうが、家で待つ家族はどうでしょうか?
妻や子供達の孤独さ、心細さ
新婚で赤ちゃんを抱えて知らない都市に転勤した時の事を思い出しました
ある日早く帰った夜、一緒に夕飯を食べて二言三言言葉を交わした時、妻は今日初めて言葉を交わしたと言いました
知らない土地で赤ちゃんと二人だけで、スーパーに買い物に行っても無言なのです
絶海の孤島に建つ灯台守の妻と何の変わりがあるでしょうか

そして長い単身赴任
いかに大都会であっても、遊びに行くところも、気晴らしにいくところが幾らでもあっても
家族がいない独りきりの部屋に帰って来たときの孤独さは消えはしません

職責を果たす為に家族を犠牲にして働く
立派で尊いことかも知れません

灯台の職責と比べれば、サラリーマンの職責なんてどれほどのものか
人命がかかった仕事とは比較もできません
それでも、灯台守と同じように家族と自分を犠牲にしてみんな暮らしているのです

現代では結婚もしない若い人が多くいます
彼ら彼女らも当然全国どこへでも独りきりで転勤していきます
大都会かもしれません、聞いたことも無い田舎町かも知れません
そこにいきなり赴任して独りきりで暮らす
その孤独さは灯台守にも匹敵するかも知れません

妻がいるからこそ、家族かいるからこそ、灯台守は職責を果たせるのです
サラリーマンだっておなじです

妻と子供達に掛けてきた苦労と孤独に今更ながら、頭が下がり感謝するしかありません

ラストシーンは灯台と国際航路の客船との霧笛の呼応でエンドマークが出て終わるのかと思っていると、更に続きます
本当のラストシーンは海霧が立ち込めている海岸段丘の上の灯台に向かう荷物を両手に持った年配となった主人公夫婦の遠景で終わるのです
それは冒頭の新婚で赴任して来たシーンとつながるのです

子供達を育てあげ、死んでしまった子、立派に育って幸せになった子
今また夫婦だけの二人に戻り、最初の時のように働いて暮らして行くのです

人間の人生の縮図がここにあります
灯台の位置を示す日本地図とはその意図を持った演出だったのです

高峰秀子の妻役は見事の一言しかありません

日本映画屈指の傑作だと思います

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あき240

5.0・灯台守が転勤族であることを初めて知る ・結婚したての初々しさもい...

2019年7月30日
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・灯台守が転勤族であることを初めて知る
・結婚したての初々しさもいいし、年月が経ってケンカするトゲトゲしさもいい
・子どもたちが成長していく姿を見るたびに感動
・よかった…

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小鳩組

5.0傑作

2016年7月31日
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傑作

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もっもしー

4.0普通に暮らすことは大事かな

2015年4月20日
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戦後暫くして封切りされた映画。私の子供の頃この映画がヒットし誰もが歌っていたような記憶がある。夫婦の普通さがとても良いし、よく描けている。転勤また転勤の灯台暮らし。また人生の喜怒哀楽もある。さらに戦争が影を落とすが灯台守の暮らしは一定である。主役の二人が分かり易くとても感情移入できる。清々しい映画に仕上がっている。

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ヤマザマン

3.0灯台守の仕事の話が少ない

2015年4月19日
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鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

悲しい

幸せ

総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:60点|演出:55点|ビジュアル:65点|音楽:70点 )

 科白をかぶらないように交互に言い合う演技は古い演出で自然さがなくて好きになれない。いかにも覚えた科白を間を取りながら喋っていますという印象。物語も家族の内輪話が中心になっていて、せっかくの特殊な職業の設定が生かされていない。灯台守の隔絶された生活の不便さに対する直接的な描写は少ないし、独自の仕事のことも描かれていないしで面白みに欠ける。小さな話を繋ぎ合わせただけの淡々とした描写の連続に盛り上がりが少ない。長年の苦労を乗り越えてきた晩年の夫婦二人は味があるものの、全体としては中途半端。
 特撮の部分は駄目だが、邦画にもかかわらずこの時代に天然色で撮影したのはたいしたもので、当時の技術としてはかなりいい色が出ていると思う。

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Cape God

1.0恋愛結婚へのアンチテーゼ

2015年4月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

主人公の灯台守(佐多啓二)とその妻(高峰秀子)は見合い結婚。しかも見合いのその場で結婚を決めて、郷里から遠く離れた文字通りの地の果てへ赴く。
初めての二人の夜を前に、お互いに慎み深く挨拶を述べ合う二人。どのような辛いことがあったとしても最後まで一緒だと誓い合う姿は、神や人々への誓いよりもずっと固く結ばれていく二人を描いている。
そしてある日、二人の暮らす灯台に一人の女が妻を訪ねてくる。この女が恋い焦がれる相手の男が、昔、高峰に熱を上げていた男で、その男がいまだに高峰への思いを断ち切れずにいる。だからその男と、彼を慕う女の二人が不幸なのは全部高峰のせいだという恨み言を聞かせるために、その女はここに来たというのだ。
ここには、恋愛感情による男女の不安定な関係と、お互いへの責任を約束しあった男女の堅牢な関係の対比が提示されている。
感情というものは移ろいやすく不安定で、映画の前半ではそれに基づく結婚を批判的に描いている。これとは対照的に、主人公ら夫婦をはじめとする灯台守たちの結婚生活は理性で固く結ばれている。
理性で結ばれているといっても、理知的なばかりで感情が通い合っていないということではない。お互いへの思いやりが極めて理性的に交わされるということだ。
感情は理性によってこそ保護される。だからこそ僻地での苦難の連続を乗り越えていく力強さがあるのだ。
後半に入り、若い頃の田村高廣演じる、佐多の後輩灯台守の恋愛にこの夫婦は知らず知らず巻き込まれていく。この恋愛も最初は周囲に取り合ってもらえず、田村は恋の相手との結婚を断念するのだが、何年かの後にきっかけをつかんで結婚を成就させる。
そして、佐多・高峰の娘も下宿先の息子と恋愛結婚をする。
しかしこの二組のなんと頼りなげなことか。若い二人だから頼りないのではない。この二組の夫婦それぞれの結びつきが弱弱しく見えてしまうのは、その幼さゆえではなく、夫婦の将来像やモデルが自分たちの中にないからである。
では、彼らを結び付けているものはどこにあるのか。
それが佐多と高峰の夫婦の理想化に他ならない。この二人を理想としていることは、一見主人公の人生賛歌として素晴らしいことのように見えるが、当人たちの中に約束すべきものが希薄であることを示している。
このようにこの作品を通して、恋愛結婚への懐疑的な視線と、時代の流れの中で恋愛感情による結びつきが増えてくることへのあきらめが見えてくる。

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佐分 利信

3.0老けメークが素晴らしい

2015年4月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

寝られる

老けメークが素晴らしい

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高峰

4.5家族の居る所がHOME

2013年9月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

戦前から戦後復興期の昭和を、燈台職員として日本の端から端まで転勤しながら生きた家族のお話。1957年木下惠介監督作品です。

実直に生きる夫婦の人生の、喜びと悲しみと。気が抜けちゃうような日常のエピソードが温かくて愛おしくて、ホロホロ涙が出てしまいました。
小学生の頃以来、実に40年ぶりに鑑賞。人生で何度も出会いたい作品です。

燈台守り夫婦を演じた佐田啓二と高峰秀子が、とても自然に年齢を重ねて見えるのが素晴らしい。有名なテーマ曲とともに、当時の日本の風景に見入ってしまいます。
転勤の度にこれで良かったのかと迷う、それは今も同じです。家族の居る所がHOME、そう思ってはいても。

最初の鑑賞で特に覚えているのは、大きな日本地図とラストシーンと、高峰秀子が柳行李に荷物をしまっているシーン。ずっと引越し準備の場面と思ってたけど夫婦喧嘩の後でした。
小学生としては一番ドキドキしたんでしょうね、その後がまた、すごくいいです。

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グッドラック