骨までしゃぶる

劇場公開日:

解説

「ゴキブリ部隊」の佐治乾がシナリオを執筆、「沓掛時次郎 遊侠一匹」の加藤泰が監督した廓もの。撮影は「兄弟仁義」のわし尾元也。

1966年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年6月12日

ストーリー

明治三十三年、お絹は十八歳の時、生活苦から遊女になった。遊廓“松風楼”の主人松岡定一郎お徳夫婦は、お絹を処女であることを売りものにして客をとらせた。お絹は美しい着物や部屋を与えられ、楽しい生活だと思っていた。そして、女として特別な身体を持っていたお絹は売れっ子になっていった。だが、お絹は次第に廓の仕組みがわかってきた。夫婦は遊女の弱味につけこんで、法外な借金で遊女の自由を縛っていたのだった。お絹や他の遊女たちは廓生活をやめたいと思っていたが監視が非常に厳しかった。だが、ある日、千代松が廓を逃げ出して救世車の保護を受けた。この事件で遊女たちの意気が高まり、松岡夫婦にくってかかった。だが、莫大な借金の通帳をみせられ、その借金を返そうと必死になって客をとった。ある日、お絹のところに、甚吾郎という職人が客になった。甚吾郎は数回通ってくると、身受けするから夫婦になってくれとお絹に言った。お絹は彼の暖かい言葉に涙を流したが、莫大な借金を甚吾郎が返せるはずもなかった。次第に自暴自棄なってきた遊女たちの中で、お雪が逃げ出した。しかし、捕われ、遊女たちの眼の前でむごたらしいリンチを受けた。ある日、お石という遊女は身体の一部を客のタバコで焼かれたあげくに外国に売られ、また、もと士族の娘お貞は、愛想が悪いと客にしめ殺されてしまった。地獄のようなこの廓の生活から、お絹は何とか逃げ出そうと決心した。そして故意に大怪我をして入院した。やがて退院の日、救世軍と甚吾郎と連絡をとったお絹は、ついに松岡夫婦の手を逃がれることが出来た。今は甚吾郎と暮すお絹の晴れ晴れとした顔には、過去のいまわしい影はなく、ようやくつかんだ幸福に充ちたりていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0桜町弘子初主演(唯一の主演作)

2022年2月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

知的

2度目の鑑賞
前回は有料動画配信サイトでレンタル
今回はDVD

監督は『瞼の母』の加藤泰
脚本は『南極物語』の佐治乾

桜町弘子初主演(唯一の主演作)
夏八木勲デビュー作

女はみんな着物を着ているが時は明治
話の初めは1900年
日露戦争前
舞台は洲崎新地の郭(くるわ)
遊郭ものといえば『吉原炎上』だがあれほどの悲哀さは感じられずヌードはちょっとあるがエロは抑え目だ
ユーモアがありリアリティーがある
三原葉子と菅井きんがお歯黒
テンポが良い
郭脱出成功でハッピーエンドのせいか痛快だ
顔のアップ多い
なかなか面白いアングル
既にカラーが主流だったのにあえてモノクロ

昭和41年公開作品
栄華を極めた時代劇映画も下火になり映画会社は任侠物に路線変更し時代劇はテレビに移行した時期にあたる
東映3人娘の一人桜町弘子初主演作
昭和30年代東映時代劇で主役といえば片岡千恵蔵市川右太衛門大犮柳太朗大川橋蔵中村錦之助など殆どが男性俳優
女性で主役を張ったのは昭和の歌姫であり別格の大スター美空ひばりくらいなもので大抵の女性俳優は男性俳優に花を添えるお飾りか端役しかなかった
1956年東映に入社
同期は里見浩太朗や同じくのちの3人娘の1人になる大川恵子など
57年映画デビュー
のちに早々と芸名を松原千浪から桜町弘子に変更し今に至る
富士額の代表格
念願だっただろう初主演作はデビューから10年かかった
町娘やお姫様役から40年代に入ると遊女役が増え始めそれが好評で主演作に繋がった
田舎から出てきたおぼこの役だが撮影当時28歳くらい
俳優歴10年の集大成であり細かい演技をしていて流石に芝居は上手い

菊やっこことお絹に桜町弘子

お絹を助け出し夫婦になる河村甚喜郎に夏八木勲

先輩の遊女
お貞に久保菜穂子
千代松に宮園順子
小雪に桑原幸子
お満に小島恵子
お浪に沢淑子
お石に石井トミコ

郭のお父さんに三島雅夫
郭のお母さんに三原葉子
元遊女でお父さんお母さんのサポートをするおたねに菅井きん

巡査の一人に芦屋雁之助
医者の一人に芦屋小雁
女衒に汐路章
署長に遠藤辰雄

川谷拓三や志賀勝も出演

お父さんこと松岡定一郎氏の「政治家なんてものはてめえのスケベ棚に上げてだよ、郭にぺんぺん草生やさせるような法律作りやがるんだからな。この世は末世だよ」という台詞が一番胸に刺さった

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野川新栄

3.5夏八木勲デビュー作品

2016年7月23日
iPhoneアプリから投稿

若々しい演技が見ものです。

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熊取けん

5.0タイトルはえげつないが・・・

2013年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

ローアングル、ながまわし、そして画面に橋が出てくる演出で有名な
日本映画の巨匠、加藤泰監督の「骨までしゃぶる」を神保町シアターで
観てきました。

タイトルからして、暗い、重い、救いようのない映画に聞こえますが
ところがどうして、さすがはプログラムピクチャーの加藤泰監督作品。

郭に売られた女の生き様をリアリティあふれる描写で見せながらも、
最後はハッピーエンドという、カラッとした内容でした。

映画館で観れたので、これまた貴重な体験となりました。

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