ひとり狼

劇場公開日:

解説

村上元三の原作を、「若親分千両肌」のコンビ、直居欽哉が脚色し、池広一夫が監督した時代劇。撮影は「悪名十八番」の今井ひろし。

1968年製作/83分/日本
原題:The Lone Stalker
配給:大映
劇場公開日:1968年4月20日

ストーリー

これは中年のやくざ孫八が語る話である。孫八はひょんなことから、追分の伊三蔵と知り合った。同じやくざだが、孫八は伊三蔵という人間に、一目会った時から興味を覚えた。人斬り伊三と呼ばれる兇状持ちの上、親分なしの子分なし、まったくの一匹狼である伊三蔵には、何か暗い影があるのだが、孫八には“本もののやくざ”とうつった。旅から旅への渡り鳥である二人が、再び会ったのは上州の坂本宿。たまたま孫八はやくざになりたての半次と共にある一家に草鞋を脱いだが、そこに伊三蔵も客になっていたのだ。伊三蔵は博奕にも強く、剣の腕も確かで、追われる者特有の油断のない身構えが周囲の者を威圧していた。半次はそんな伊三蔵にすっかり、魅せられてしまった。翌年の春、孫八は三州のある花会で伊三蔵と三度目の出合いをした。この土地の人間と伊三蔵は、何か因縁があるようだった。小料理屋の酌婦お沢は伊三蔵のかつての女だったという。間もなく分ったことだが、伊三蔵は、郷士上田家の奉公人だった。それが跡取娘由乃と愛しあい、由乃が身篭るまでになったが二人の関係が知れると、酷い別れ方をさせられたのだ。しかも、由乃の従兄平沢は、伊三蔵を斬ろうとさえしたのだ。こうなると、由乃もあえて駆落ちしようとはしなかった。それ以来、伊三蔵は剣の腕を磨き、女も信用しなくなり、兇状持ちのやくざになっていった。伊三蔵が再びこの土地に姿を現わしたのは、由乃と子供の由乃助が幸福に暮しているかどうか見たいためだったのだ。今、由乃は仕立物をしながら由之助を学者にするべく、ひとり身を守っていた。だが、平沢は、再び伊三蔵を斬ろうと計り、由乃と由之助を人質にして伊三蔵をおびき出した。悽惨な戦いだった。伊三蔵が平沢を斬ったとき、自分自身も重傷を負っていた。しかし、伊三蔵は誰の手もかりず、黙って歩き去っていった。それ以来、孫八は伊三蔵に会っていない。だが、孫八は、伊三蔵が生きていて、どこか旅の空を流れているに違いない、そう最後の言葉を結んだ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5日本人の心の原郷‼️

2024年3月17日
スマートフォンから投稿

泣ける

興奮

幸せ

従来の日本の時代劇の股旅ものとしては、加藤泰監督の「沓掛時次郎・遊侠一匹」とともに大好きな作品です‼️ "人斬り" として有名な伊三蔵が郷土上州坂本宿へ帰ってくる。伊三蔵にはかつて愛し合った奉公先の娘・由乃と一人息子をこの地に残した過去があった。伊三蔵は由乃と、自分の存在を知らない息子の様子を一目見ようと、この土地へやってきたのだった・・・‼️とにかく市川雷蔵さんのニヒルな魅力がバクハツ‼️市川雷蔵主演作で時代劇に限れば一番好きな作品ですね‼️そして任侠映画やヤクザ映画とは違う、時代劇の股旅映画における渡世人のしきたりや所作の教科書のような作品‼️仁義の口上、焼き魚の骨を手ぬぐいに包んで持ち帰るといった食事の作法、博奕場での退出時の作法など、ホントにリアル‼️凄まじい竹藪での果し合い、雪が降る中でのラストのチャンバラシーンも脳裏に焼き付いています‼️伊三蔵が変わらず渡世の旅路を歩いていくラストカットもホント印象的‼️

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活動写真愛好家

2.5凶状持ちの一匹狼

2021年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

身分の違いから出奔した凶状持ち(市川雷蔵)だったが、まだ観ぬ息子にひと目会いたくて帰ってくる。
これを快く思わない一派と争いになるのだが・・・。
市川雷蔵はこんな役が似合う。

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いやよセブン
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