東京流れ者

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劇場公開日:

解説

鬼才・鈴木清順が渡哲也を主演に迎え、暴力団の抗争に巻き込まれた男の戦いを鮮烈な映像で描いたアクション。1965年にリリースされた渡の同名歌謡曲をモチーフに、作詞を手がけた川内康範が原作・脚本を担当した。「不死鳥の哲」こと本堂哲也はやくざ稼業から足を洗い、恋人・千春と結婚することを決めていた。しかし哲也が所属していた倉田組が不動産業に転じたことに不満を抱く大塚組は、哲也を執拗に付け狙う。やがて大塚組の魔の手が千春にまで及んだことを知った哲也はついに怒りを爆発させ、壮絶な戦いへと身を投じていく。

1966年製作/82分/日本
配給:日活
劇場公開日:1966年4月10日

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映画レビュー

4.0矛盾も違和感も吹っ飛ばす映画的快感

2023年8月11日
iPhoneアプリから投稿

ディミアン・チャゼルが『ラ・ラ・ランド』にて密かなオマージュを捧げていたことでも有名な鈴木清順のヤクザ映画。いくら巷間で楽曲のタイアップ映画が流行っていたとはいえ鈴木清順にメガホンを取らせる冒険ぶりには当惑せざるを得ない(大島渚の『帰ってきたヨッパライ』もなかなかのものだったが…)。

60年代後半から70年代初頭にかけての「任侠」から「実録」へとヤクザ映画の重心が移行しつつあった頃にありがちな、人情とリアリズムを往還するような物語には既視感しかないが、色彩やオブジェクトの配置、セリフの行間といった技巧の点に関しては唯一無二のヤクザ映画と評せる。饒舌な長回しからスピード感のあるマッチカットまでなんでもこなす器用さにも毎度ながら恐れ入る。

終盤、軟禁された歌手の千春を助けに来た青年がヤクザに銃を当てられ、ピアノの上に座らされたかと思いきや次のカットでは青年が盤に指を置きメロディを奏で始める一連のシークエンスには仰天した。物語や行為としての矛盾や違和感を、それを上回る映画的快感で上塗りしてしまう映像の力強さ。

それと、東北の真っ白な雪原を駆けずり回る水色ジャケットの渡哲也。単に色彩がバチバチしているだけの映画であれば昨今でもままみられるが、本作ではそれらが周囲の空白や人物との間に必然性のある緊張関係を取り結んでいる。色彩の不在がそのまま画面の死となるのではないかと思わせるギリギリの画。それでいて及び腰な感じは全くしないので、こちらとしてもいけ好かない60年代のブルジョア大学生的スノビズムを警戒せずに陶酔できるというもの。

そう、鈴木清順って意外と気楽に見られるのがいいんすよね。割と身体的な部分で映画を撮ってて、なおかつそれが高水準で成功している。矛盾した言い方にはなるが、「衒いのない衒い」を実現できている。そんなのはやろうと思ってもできることじゃないからすごい。

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因果

4.0闘いの構図にカラーを生かす鈴木清順

2021年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

テツこと渡哲也の水色のスーツが実にさまになっていた。一方テツの先輩二谷英明は緑色ジャンバーを羽織る。敵方親分の赤いジャケット、舞台となるクラブ壁の黄色、室内壁の紫や薄緑などとともに、色に拘る清順監督らしい鮮やかさが印象的。最後は、真っ白なスーツできめた渡哲也が、真っ黒な衣装の自分を裏切った親分や敵に対峙する。

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Kazu Ann

4.0水色のスーツ

2021年4月23日
iPhoneアプリから投稿

楽しい

興奮

時代としては当然ながら斬新なレトロ感、木村威夫の美的センスが炸裂する清順美学としてのハードボイルドなピカレスク・ロマンたる所以の初期衝動。

石原軍団前の渡哲也が若いながらの渋味が全開で格好良過ぎる、単純明快にはならない単純な物語が潔く映像のLookが狙っていないオシャレ感で雰囲気が最高。

どんなに世が過ぎようと古臭さは微塵も感じない、娯楽の中にある芸術と意表を突いた演出描写、どの角度からでも楽しませる鈴木清順の手腕に脱帽する。

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万年 東一

3.5清順

2020年9月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

うわーカッケーなーこの構図ていうアート映画然とした絵に圧倒される。話は平凡をだがそこがいい。

渡哲也は無邪気に見える。

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filmpelonpa
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