劇場公開日 1984年1月14日

「オッペケペー」序の舞 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5オッペケペー

2022年5月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

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貧しい農家から京都のお茶問屋の養女になった勢以とその次女、津也(女流日本画家の上村松園がモデル)の生涯を描いた宮尾登美子の同名小説が原作の1984年の映画。鬼龍院華子の生涯、陽暉楼に続く、宮尾登美子原作の東映映画三本目。時代はもちろん明治ですが、ヤクザものや遊郭ものではありません。しかし、京都が舞台のドラマも魑魅魍魎の世界で、エロチックです。
高峰三枝子、岡田茉莉子、三田佳子、菅井きん、そして主演は名取裕子。
男優陣は佐藤慶、成田三樹夫、風間杜夫、三田村邦彦ら。
特筆すべき?は、なぎら健壱がオッペケペー節の川上音二郎役で出ている。三田村邦彦が切符を2枚用意して、名取裕子をデートに誘うが、忙しいと断られ、名取裕子の妹役の水沢アキと出かける演芸場の場面。
当時は映画の代わりだったんですね。デートが上手くいくとは思えませんけどね。社会批判、風刺の書生節ですからね。三田村邦彦は姉の名取裕子にお土産の絵を買って、水沢アキに渡すんです。不粋です。水沢アキは三田村邦彦が好きなので、家に帰って岡田茉莉子に抱きついてわんわん泣いて、早く西陣の呉服屋でもどこでもいいから嫁に出してくれって言うんです。可哀想でした。なぎら健壱は若くて、こっちが恥ずかしくなるようなバ○顔でした。この映画の唯一の笑い処でございます。
勢以(岡田茉莉子)の子供時代は小林綾子。おしんとほぼ同じ頃の撮影と思われます。
BS日テレの2021年放送の録画を観賞。残念なのは名取裕子の豊満な乳房に強めのボカシが。映画自体、ボカシ入り?いくら日本画家だからってねぇ、水墨画じゃあるまいし。でも、顔の表情が堪りません。
佐藤慶のイヤらしさは期待どおり。ボカシ入れるなら、佐藤慶の顔にも入れて欲しかった。
妊娠しても、文句のひとつも言えないパワハラ、セクハラ時代を逞しく生きた女性の凄み。むちゃくちゃな人もいたでしょうけど。宮尾登美子っていう作家さん自身、土佐の遊郭の生まれ。明治の女はたくましい。
岡田茉莉子もとてもよかったと思う。でも、この映画、日本アカデミー賞でなにも賞取っていないんです。どうしてですかね。この当時の日本映画のレベルが高かったんでしょうね。それとも、脱ぎたくてうずうずしていた名取裕子の発言が過激過ぎたからか?なぎら健壱のオッペケペー節が「嗚呼!花の応援団」と同じレベルの評価を受けたからか?

カールⅢ世