劇場公開日 1967年5月27日

「三船敏郎、かっこいいーーーーー!」上意討ち 拝領妻始末 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0三船敏郎、かっこいいーーーーー!

2024年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

サラリーマン化した武士の悲哀物語?と最初は思ったがとんでもない。次世代へ繋いでゆく壮大な家族愛・夫婦愛、そして友情物語。婿に入ったが故の苦しくも辛い20年を耐えた夫(三船敏郎)、言葉も態度もきつい妻、そんな両親を見て優しく素直に育った長男(加藤剛)、ちょっと愚かな次男。自分の意志も気持ちもことごとく無視され悲しみをこらえて生きてきた若く賢く優しい娘(司葉子)。美しいがゆえに大奥に入り30才も年上の殿様の妻になり男子を生むも追い出され格下の武家に拝領される。姑はグダグダと文句をいうが、舅(三船敏郎)も夫となる長男(加藤剛)も、妻の市(いち:司葉子)を大切にし市も家に馴染み娘もできる。

ところが!話したくてあらすじを書きたくなりますが、私の技量では到底無理です。

とにかく平和な後期江戸時代、剣の達人といっても殆ど意味なく活躍のしどころもなく無為な日々を送り、上の立場の人間の言うことには唯々諾々、親戚抱えている本家として我慢を強いられる、人間関係ストレスいっぱいで今のサラリーマンと全く同じ心境で日々を過ごしていた三船敏郎。唯一心が通じているのは同じく剣の達人の仲代達矢。そんな三船敏郎が生きるか死ぬか切腹かという際に「今が一番生きている気持ちだ」ときっぱり言うかっこよさ!

本当に見てよかった映画です。内容がギッシリ詰まっていて、女性(姑、娘、母親、大奥、普通の武家の嫁、当家の主の妻)からの視点、男性(夫、父親、舅、祖父、長男、次男、お役目、友人、当家の主)からの視点が豊かに丁寧に描かれています。映像としては多用される顔の大アップがあらゆる感情を的確に捉えていました。

音楽は武満徹。尺八の音色が自然ながら現代音楽風でしゃしゃり出ずよかったです。そして勉強もしました。畳を全て裏返しにするのは、闘いの際、血糊で足が滑るのを避けるため!知らなかった!時代劇は色んなことを教えてくれます。「孫連れ狼」にもなる三船敏郎ですが、時代劇の三船敏郎をこんなにかっこいいと思ったのは初めてでした!

上映時間128分ですが長いとは全く感じません。それ程中味が濃厚で意味があり素晴らしい脚本と演出なんだと思いました。三船敏郎、加藤剛、司葉子、仲代達矢の四名が最高でした!

talisman
活動写真愛好家さんのコメント
2024年5月1日

talismanさん、こんばんは🌆
たくさんの共感ありがとうございます‼️
とにかくこの作品の三船さんはカッコいいですね‼️建前と矛盾だらけの武家社会‼️
「切腹」と並ぶ小林正樹監督の傑作ですね‼️

活動写真愛好家