劇場公開日 1956年1月14日

「【ある貧しい夫婦の、つまらない事から起きた夫婦喧嘩と和解を描いた何だか、遣る瀬無くも、そこはかとないユーモアを漂わせた作品。】」驟雨 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【ある貧しい夫婦の、つまらない事から起きた夫婦喧嘩と和解を描いた何だか、遣る瀬無くも、そこはかとないユーモアを漂わせた作品。】

2024年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■結婚4年目の夫婦、並木亮太郎(佐野周二)と妻・文子(原節子)の間には冷たい倦怠の空気が流れていた。
 ある日の日曜日の朝、2人はささいなことからいさかいを始め、亮太郎は出かけてしまう。
 夕方を迎え、文子が買い出しから帰ると、新婚旅行に行っているはずの姪のあや子が待っていて、夫に対する愚痴を言い始める。

◆感想

・成瀬己喜男監督は、今作を含め情緒的で遣る瀬無い作風から”ヤルセナキオ”と綽名されたそうであるが、今作を観ていると正にそう思う。

・常に胃痛を抱える夫と、外で働きたいと思っている妻との齟齬。

・夫は、弱小会社のリストラ要員になった事をきっかけに田舎に戻りたいという思いを描くが、妻はその想いを甘いと一喝する。

<だが、そんな二人だが、紙風船で遊んだりするラストシーンなど、ユーモアや小津監督作品では観たことが無い、倦怠期を迎えた妻を演じる原節子が、飾ることのない自然な演技で魅せる作品である。>

NOBU