劇場公開日 1998年10月10日

「青春の原点」がんばっていきまっしょい(1998) おさる大魔王さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0青春の原点

2014年1月3日
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毎年春先になって水ぬるむ頃になると、恒例のように訪ねたくなる場所がある。それは松山市の港山だ。

私が学生の頃、ボートの練習に明け暮れた場所。映画『頑張っていきまっしょい』の原作の舞台となった場所だ。

映画の一シーンで高校に入学した悦ネエが、きらめく春の水面を滑っていくボートを漕ぐ若者の姿にくぎ付けになった姿が私の若いころの姿と重なる。大学に入学したものの、若い力を何に使えばよいのかがわからないままに、藁をもつかむような思いでボート部に入部し、朝日レガッタ出場を果たすまでの2年間を港山の艇庫や梅津寺海岸で過ごした記憶が甦る。

思えば、原作者の敷村さんとはほとんど同年代なので、ひょっとしたら同じ時間を隣り合った艇庫で過ごしたのかもしれないと思う。悦ネエは残念ながら故障して朝日レガッタに出ることなくボートから降りてしまったのだが、朝日レガッタに出場して決勝で敗退した私も、実は全く悦ネエと同じような気持ちで青春時代を過ごし、大人になっていったのだと思う。

毎年3月の初めころ、港山の艇庫跡に佇んで思いを馳せるのは、太陽の光をキラキラ反射させた海面のきらめきと、頭の中が真っ白になるほどにひたすら漕いだ記憶だ。

何故ここに戻ってくるのか、最近はっきりとわかるようになった。理屈抜きで全力で生き切った瞬間の記憶がそこには染み込んでいる。年老いて、ほどほどにしか生きることができなくなった自分に喝を入れるために港山に戻る必要があるのだと思う。

映画『頑張っていきまっしょい』は私の青春の記憶そのものであり、また、大切なものを思い出させてくれるきっかけになったかけがえのない映画だ。

おさる大魔王
2017年12月31日

おさる大魔王さんの映画「がんばっていきまっしょい」とその主人公の悦ネエに対する共感は私も同一です。私の場合は中学3年間の柔道部での活動がそれでした。私立の中高一貫校であった為、高校受験を気にすることなく、週4日の稽古にほぼ休むことなく打ち込みました。夏休みの稽古も冬の寒稽古もこなしました。私の場合はキラキラした海面の記憶ではなく、練習後に正座をして整列した折の、柔道場の窓から差し込んだ夕日に照らされた畳の目が今も脳裏に鮮明です。あの頃、利得抜きで柔道に打ち込んだ若い日々は中年になった今も、私にとって大切な宝物です。その後に歩んだ人生においても、大きな糧になったことは間違いありません。映画「がんばっていきまっしょい」は、私やおさる大魔王さんに限らず、多くの人にとって青春時代に一度は経験したタイムカプセルのような作品にも思われます。

eichan