お引越しのレビュー・感想・評価
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三角テーブル
お引越しというタイトルが中盤以降に意味をなさなくなってゆく。キネマ旬報ベスト10では2位になっているらしいが、そこまでいい映画だとは思えない。むしろカメラアングル、長回しという撮影テクニックと編集のすごさが心に訴えてくる。
一番印象に残るのは漆場家の三角形のテーブル。各辺がアンバランスであるところも離婚の危機を迎えている家族を象徴した作りになっているのだろう。そして、終盤の花火、火祭りと近江の祭りのダイナミクスを臨場感たっぷりに伝えてくれた(テレビで観たときには当然ながら感じなかった)。
風呂場に立て篭もったときの桜田淳子の演技は背筋が凍るかと思うほど迫力があった。変な宗教に走らなければ大女優になったものを・・・と惜しくてしょうがない。意外な脇役鶴瓶もいい演技してました。理科室のアルコールランプのエピソードは良かったです(結果がわからなかったけど・・・)。そして子役の田畑智子!「おめでとうございます」の連呼も印象に残るが、どこかのじいチャンとの会話で「覚えていればいい記憶なんて5つくらいで十分」との言葉に「あ、足りない・・・」と言ってじいチャンを困らせてしまうところが心に残る。
自分も理不尽な大人になった
映画ファンには高評価の映画。家族のゴタゴタなので、ヒット作中心に鑑賞する人には退屈に感じると思います。
93年の様子がはっきりと映し出されていました。学校や親などとても生々しく、この時代や子供に戻った気分でした。
レンコが両親を元に戻せると奮闘する姿を見て、子供が親に対する特別な思いを思い出しました。
離婚ってよく分からないけど、絶対悪だと思っていた年齢で、親が離婚した子供はクラスメイトから偏見の目を持たれるなど、離婚によって子供に襲いかかる残酷さを感じました。
この夫婦は決定的なものがなかったので、余計レンコは理解出来なかったと思います。どうにか出来ると思うのがよく分かりました。
自分もかつてはそうだったのに、はっきりと説明出来ないけど離婚するしかないことやこの理不尽さを受け入れなさいと子供に思う気持ちの方が理解出来て、切なさを感じました。
母親のナズナの辛さが爆発するシーンは迫力がありました。既婚女性は共感出来ると思います。
琵琶湖のお祭りに行ってからのレンコの気持ちの変化が分かり難かったのと長過ぎるように感じました。
あっさり前向きになったので、少し拍子抜けしました。
離婚する親の状況なんて子供には関係ない
総合:65点
ストーリー: 70
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 75
音楽: 65
親の離婚問題で大人の事情が理解出来ず、子供の立場で問題を見つめている。親に何があろうが、子供にしてみれば自分の責任でもないのに大きなものを失い生活が変わるということには変わりない。離婚します、はいそうですかというわけにはいかないだろう。状況を受け入れる過程が彼女の視線から描かれていて、それが彼女の演技とともに魅力的だった。彼女が出会ったお爺さんの息子が天国にいることをほのめかされて、天国に向かって「いただきます」と笑顔で言うなんて良い意味で意表をつかれた。大人だったらお悔みくらいしか思いつかない。一晩中娘を探し回って、でも朝にその姿を見つけても怒ることもなく笑顔で話しかける母親は、娘の気持ちを理解しているからだろう。
だが子供の感じる寂しさややるせなさを描くのはいいのだが、琵琶湖畔の旅で母親から逃げるようにして一夜を過ごし朝を迎える場面が20分くらい続くのは、長すぎてちょっと退屈を感じた。現実の世界からいきなり幻想的な世界になっていて見ていて少し戸惑ったし、ここをうまく短くまとめてくれていたらもっと評価出来た。
田端智子はこれが初舞台らしく、こんな子供の時から女優をやっていたとは知らなかった。
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