劇場公開日 1992年12月26日

「寅さんの答えは「そりゃ結構毛だらけ猫灰だらけだなぁ」(笑)」男はつらいよ 寅次郎の青春 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0寅さんの答えは「そりゃ結構毛だらけ猫灰だらけだなぁ」(笑)

2019年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 北原ミレイの「石狩挽歌」ってどんな曲・・・ボンボロロ・・・と、泉を家に招待してお風呂にまで入り泊まっていくという家族的なつきあい。高校時代はブラバンでフルート、今はCDショップで働く泉。友達の結婚式に出席するため宮崎へ行くという・・・

 その頃寅さんは宮崎にて床屋の蝶子(風吹ジュン)と知り合い、『髪結いの亭主』(1990)のごとく髪をあたってもらいうっとりしていた。彼女は船乗りの弟(永瀬正敏)と暮らす独身。寅さんはまたまた偶然に泉と会い、足に怪我をして入院。緊急の電話を受けたため満男が急きょ宮崎に向かう。満男君、毎度毎度泉のことを追いかけるように旅をしてるけど、いつでも会えるんだから、張り切らないように!

 泉の家庭事情とか満男の心情にかなり時間を割いていたためか、宮崎での姉弟のエピソードがちょっと弱かった。足の怪我がたいしたことなかったのに、寅さんとしては治らないフリをしていたところがよかった。そして音楽が多彩。冒頭ではレコード店の「フィガロの結婚」、違うと思うけど「セビリアの理髪師」、蝶子の名前から「蝶々夫人」とオペラが並び、江戸川の土手では「新世界第二章の家路」が流れる。そして北原ミレイの「石狩挽歌」に美空ひばりの「港が見える丘」。劇中では永瀬正敏が自宅で弾き語りしたり、祭りでバンド演奏をするのですが、最も印象に残るのは徳永英明の「夢を信じて」が2回も流れたところだろうか。とにかくシリーズの中では最も音楽が多彩だった。

 一山も二山もあると寅さんが予言した通り、泉は母の手術のため仕事を辞め、名古屋へ帰るが、別れ際にキスされた満男。失恋ということではないけど、寅さんについて旅に出たいなどという気持ちもわかるなぁ。

 さらに今回気づいたのは、旅に出る寅さんを駅まで送る際に、満男が言う「何年先になるかわからないけど、大人になってもう一度泉ちゃんに出会ったとき、新しい物語が始まる」なんてのは『男はつらいよ50 お帰り寅さん』を予言していたようなところが凄い!びっくりしましたよ。

kossy