劇場公開日 1972年8月5日

「吉永小百合が15歳も年上の男性と結婚したのは、なんとなく本作が影響していたような気がしませんか?」男はつらいよ 柴又慕情 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5吉永小百合が15歳も年上の男性と結婚したのは、なんとなく本作が影響していたような気がしませんか?

2020年9月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

吉永小百合は男はつらいよシリーズ
に2作出演しています
本作と第13作寅次郎恋やつれです
この2作はセットで観て頂きたい思います
本作は前編、第13作は後編(完結編)という風な構造ですから
もちろんお話は独立していますので、片方だけ観ても大丈夫です

しかし本作だけでは物足らないのは確かです
吉永小百合にアンコールの声が大きかったのは当然ですが、山田洋次監督自身が続編を作らなければならないと感じていたのだと思います

本作の内容を一言でいえば、旅先で寅さんと出逢ったことで、父から娘が独立する勇気を得る物語です

マドンナに岡惚れして振られるドタバタはいつも通りの面白さなんですが、今回はそちらがメインになり過ぎて、肝心の父と娘の関係性の掘り下げが今一歩踏み込みが足らないままで終わってしまったように思います

吉永小百合が、綺麗だ、美しい!だけで終わってしまったという中途半端感がどことなく漂います

だから続編として第13作を撮って決着させだのだと思います

本作を観てもやもやとした方は、続いて第13作をご覧になられれば、スッキリとそれが解消してこの物語は完結したと納得できると思います

さて、吉永小百合は本作公開日のほぼ1年後の1973年8月3日に15歳も年上のテレビ局のプロデューサーと結婚します
つまり、ご主人は寅さんと同年配なんです!

彼女は相思相愛だった渡哲也との結婚を周囲の反対で果たせず、彼が一般人と1971年に結婚してしまうと毎日泣いて暮らしていたそうです
その彼女を慰めてくれたのがご主人とのなり染めだそうです

吉永小百合が15歳も年上の男性と結婚したのは、なんとなく本作が影響していたような気がしませんか?

寅さんが、時々口ずさむ歌♪いつでも夢を~は吉永小百合と橋幸夫のデュエットで1962年に大ヒットしてレコード大賞も取った「いつでも夢を」の一節です
この二人が主演で映画化もされています

ディスカバージャパンは国鉄の旅行キャンペーンの名称で1970年からスタートしたもの

歌子達三人組は、アンノン族という当時大ブームになった若い女性だけの国内旅行の雰囲気を取り上げたもの

an・anとかnon・noとかいう女性誌が国内各地の観光地を盛んに取り上げていたのでアンノン族というそうです
特にnon・noは1971年5月から月2回ペースで発行され、火付け役だったそうです

冒頭の夢から覚めた駅は鉄道自体本作から数年後廃線したそうです
歌子達と別れた駅は当時は東古市駅、今の永平寺口駅
寅さん達は永平寺に参詣して、この駅で福井方面に乗り換え待ちをしていたようです
この駅と永平寺駅との間の路線はもうとっくに廃線になっているようです

金沢ロケでびっくりしたのは、寅さんの泊まった旅館からの光景が、犀川大橋の南詰であったことです
ふた昔までそこの角には魚屋さんがまだあって、その二階が座敷で、夜になると魚を食べさせてくれるという有名なお店でした
安くて美味しいところだったので撮影隊も行ったようです
いまはお寿司屋さんになっているようです

記念写真でバターの大爆笑シーンは、第1作で午前様が奈良で記念写真撮る時にやったギャグです

あき240