劇場公開日 1956年3月18日

「正しい売春婦像。」赤線地帯 うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5正しい売春婦像。

2016年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

不気味な弦楽器が鳴り響く。お化けが出てきそうな効果音が印象的なオープニング。
タイトルどおり、売春の許されていた赤線地帯の女たちの物語。まさに、売春禁止法が施行される前後の作品だ。

正しい売春婦像。オレがガキの頃だって日活ロマンポルノの女優さんたちはこんな感じだった。思春期になるとビデオが普及。AV時代到来。こんな可愛い娘がって。そのうち、巷には女子高生が援交までやるライトな時代に。とまあ、エロの時代変遷はこれくらいにして。

この作品の売春婦はみな不幸を背負ってる。親父の借金返済のため。一人息子を育てるため。病気の亭主のため。そんな中、金しか信じられなくなる者。結婚に憧れて飛び出すも、結局出戻る者。家族から縁切りされて、気が触れる者。終いには、生娘までもがこの世界に足を踏み入れる。

考えてみれば、戦後10年あまり。そんな時代に、海外からも評価を得ていた溝口健二監督の遺作。
舞台は吉原だろうか。まさに社会派映画の先駆け。若尾文子がキレイなこと。京マチ子がグラマス。ラストが秀逸。

うり坊033