劇場公開日 2007年2月3日

「ピーマンとタマネギを食べ残すと痛覚が鈍るんだから」フリージア kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ピーマンとタマネギを食べ残すと痛覚が鈍るんだから

2018年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 公式サイトから飛んでみると、敵討ち法の是非についてのアンケートではYESと答えた人が55%に達しているようだ。映画の設定では戦時下だということなので、何でもアリのような気もして仕方がないのですが、本筋でもある軍部による瞬間凍結爆弾実験に関しては問題点が多すぎる。敵討ち法対象者は当然軍上層部にあるわけだから、そこまで司法の手が伸びない限り、上官の命令に背くことのできない一兵卒が対象とされるのは逆恨みもいいところだ(わざとらしく、孤児を引率した兵士が最高責任者の息子だという設定にも納得できない)。こうした法の問題点は、結局は遺族の個人的感情と周囲の同情心に左右され、悪の根源が無罪放免となるところにあると思われます。

 と思いつつも、復讐劇は好きだし、CR必殺仕事人も好きだし、復讐の連鎖を断つことがテーマとなっている映画・ドラマにも共感してしまう。この映画にしたって、爆弾実験の犠牲者が軍の上層部に闇の執行人を送るなどという展開になれば拍手喝采ものだったと思うのです。また、法律のルールに関しても問題点が多過ぎで、執行対象者が選んだ警護人が凄腕のガンマンだったら返り討ちに遭うだけでなく、国費の無駄遣いとも非難されかねないのです。

 テーマとしては大いに考えさせられる内容だったのですが、映像が暗く、撮影や編集技術も脚本もアマチュア映画かと思ってしまうほど(なぜかVFXにプロを感じたが)。俳優は頑張っていたのに、緊迫感がない展開や脚本に奥深さがないところが残念でした。ただ、執行人の冷酷非道とも思われる溝口(三浦誠己)や、人命を尊重する考えに変わる山田(柄本佑)の心理描写などは興味深いところだったし、制度そのものに対する考えが対立しているところが面白い。トラウマによって痛みを感じなくなった主人公の叶ヒロシ(玉山鉄二)のニヒルさも捨てがたいところだ。

 殺してしまいたいほどの加害者。司法に頼って解決するのならば、死刑という手段と同じだと思うのですが、やはりココは裏の稼業仕事人に頼るのが一番ではないでしょうか・・・

kossy