劇場公開日 2022年12月11日

「毎年大晦日に観たい年越しライブパーティー。」ゲット・クレイジー 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5毎年大晦日に観たい年越しライブパーティー。

2022年12月31日
PCから投稿

日本ではビデオ発売のみだった80年代のカルト映画を、東京の菊川に新しくできた映画館Strangerが独自に配給権を買って公開してくれた。40年前の大晦日、とあるライブハウスが企画した年越しライブの狂騒を描いたコメディで、とにかく表層的なロックンロールのイメージにポップさをまぶして、おもちゃ箱をひっくり返したようなドタバタ劇に仕立て上げているのだが、そのペラさが猛烈に80年代的なアートとして成立している。

子どもだった同時代に観ていたらおふざけが過ぎて呆れていた気がするのだが、40年経って触れてみると、時代を封じ込めた玉手箱のようで愛おしく、そして底抜けに楽しい。さらにB級映画として片付けられないくらい、演奏シーンがいちいち素晴らしい。

振付師やキャスティング・ディレクターとして活躍されているらしい女性が率いるNADA BANDは、カルト化するのも納得のガールズバンドだし、ルー・リードは出オチ的なカメオかと思ったら、しみじみとさせる使われ方をしていて、もはや感涙レベル。毎年大晦日にテレビで流れていてほしい。

村山章