劇場公開日 1993年9月4日

「規律ある社会への郷愁と美男の弟について」リバー・ランズ・スルー・イット あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0規律ある社会への郷愁と美男の弟について

2024年2月17日
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鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭で観て、感想というか気付いたことを2つほど。
まず監督のロバート・レッドフォードだけどアカデミー監督賞を受賞した「普通の人々」がそうだったように家族を中心とした規律ある社会への郷愁が根底にある。
1920年代のモンタナ州の片田舎が舞台で、ノーマンとポールのマクリーン家はスコットランド系。WASPのコミューンが形成されていて一つ一つの家族が社会の核になっている。信仰と家庭内の秩序が全ての判断基準となり粛々と日常生活が営まれているそんな社会。ほかと違うのは釣り。マクリーン家だけではなく、恐らくはこの川沿いの人々の生活にはフライ・フィッシングが組み込まれ、大げさに言うと外界=自然との交信、調和の手段となっている。
そういったキチンとした規律正しい生活が、アメリカにはかってはあったよ、ということがロバート・レッドフォードがこの映画で言いたかったことの80%くらいを占めているような気がする。ほらポールのセリフにあるでしょ。「モンタナでは、教会と仕事と釣りは時間厳守だ」って。確かに規律正しく営まれている生活、社会は美しい。この映画は映像だけでなくドラマもとても美しいと思うけど、美しさの源泉はそこにある。
もちろん1920年代といえども規律を脅かす要因がなかったわけではなく、貧困であったりアルコール中毒であったり賭博であったり人種差別であったりハリウッド的性的放縦であったり、後にアメリカ人を悩ます事柄がチラホラ顔を出す。最後には弟ポールはその一つに絡め取られてしまうのだけど。
気付いたことの2つ目はその弟ポールについて。
この映画は、エデンの東と同様に、旧約聖書のカインとアベルを下敷きにしていると思う。カインとアベルについては昔から不思議に思っていた、なぜ神は弟アベルのみを愛したのか。最終的には兄は弟を殺したからしょうがないものの、そこまでは一所懸命に大地を耕し神にも尽くしてきたカインはなぜ理不尽にも神に愛されなかったのか。
この映画を観てわかった気がする。きっとアベルは美男だったのですよ。ブラッド・ピットのように。

あんちゃん
あんちゃんさんのコメント
2024年2月19日

トミーさんコメントありがとうございます。私も二人兄弟の上なんですが、時々、損な役まわりだったなと思うことがあります。時々ですよ。ずっと思い詰めないのが長男の良いところで。

あんちゃん
トミーさんのコメント
2024年2月18日

美人薄命という言葉も有りますしね。才能に恵まれながら破滅的な危険な匂いのする次男(ここ重要)は、現在でもきっとモテるんでしょう。

トミー