博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

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劇場公開日:

解説・あらすじ

東西冷戦の最中に撮影され、戦争が世界の破滅を導くことをシニカルに描いたブラックコメディ。米国空軍のリッパー将軍の指示でソ連に向けて核攻撃が開始される。英国空軍のマンドレーク大佐が爆撃機の撤退を説得する一方、ソ連は核爆発によって誘発される地球破壊装置の存在を明らかにする。「ロリータ」「ピンクパンサー」シリーズのピーター・セラーズが英軍大佐、マフリー米大統領、表題でもあるストレンジラブ博士の3役を見事に演じている。

1964年製作/93分/アメリカ
原題または英題:Dr.Strangelove: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
劇場公開日:1964年10月6日

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映画レビュー

3.5時代によって色を変える作品。

2024年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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すっかん

4.5監督と俳優が異常な愛情を注いで制作した           社会風刺映画

2025年3月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

感想

本作におけるスターリング・ヘイドン扮するリッパー、そしてピーター・セラーズの演じていたストレンジラブ、ジョージ・C・スコットのバック、アレクセイ役のピーター・ブル、更にスリム・ピケンズのコング。核兵器戦争時代におけるヒステリックで独善的且つ偏執的な狂気を其々の立場で受け止め行動する人間の姿を超個性的な一流俳優達による異常とも言えるこだわりと演技に傾注する愛情が究極の心理表現、表情など多彩な演技の体現を産み出し見事に其々の役に命が吹き込まれ独創的で画期的なキャラクター達を形創っており、さらにキューブリックの異常なまでの愛情をもって創り出す映像偏執狂とも言える映像の構成と演出が各キャラクターをデフォルメさせている事がよく解る。そんな彼らが狂気の沙汰のオンパレードを繰り広げ人間の狂気に翻弄される全人類の行く末をシュール且つブラックユーモアたっぷりに面白おかしく描いていた。

全キューブリック作品に必ず共通してあるものは物語の鍵となる、時に人間の理解を絶する程の「狂気」である。名前を変え人を介し密やかに、またある時は全面に発現され、物語の展開に素晴らしいまでの華と陰鬱さを齎らし、結果として作品全体が一段と引き締まるのだといつも感じる。

その「狂気」とはコケティッシュで魅力的な女性ドロレスであり、悪人そのもであるアレックスであり、悪霊に憑依された精神病の男ジャックであり、あるいは宇宙船内で叛乱を起こすHAL9000システム、更にはハートマン軍曹であり、看過されてしまい精神異常を来たすパイル二等兵である。そしてセックスを教義とするオクタグラムの新興宗教組織なのである。真面目な人間ほどいとも容易く狂気に変貌してしまう事があり得る事をキューブリックは知っているのである。

⭐️4.5

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Moi

4.0エンタメキューブリック❗️(もちろん単なるエンタメのわけがない)

2025年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

知的

難しい

若い頃にカッコつけてキューブリックに少し手を出してみたことがある。
映画青年なら一度は通る道ではないだろうか(笑)。
結果として当時の自分が感じたのは「スゴイ❗️でもわからん❗️」だった(笑)。

そんな中でこの『博士の異常な愛情』は『現金に体を張れ』と並んで、自分にとって分かりやすく面白い映画だった。

ちなみに『シャイニング』もメチャクチャ怖くて面白かったのだけれど、エンディングが原作とはまったく異なるため、なんとなく原作のエンディングを感傷的だと否定するようなキューブリックの冷徹な視線が感じられ、当時スティーヴン・キングの小説にハマっていた自分はモヤモヤしたものである(笑)。

そもそもキューブリックは「人間」に対して感傷的には絶対ならない人で、そのことは最後まで首尾一貫していたと思う。

この映画も感傷的なことは一切排し、核戦争に突き進む愚かな人間たちを描いたブラックユーモア作品であり、核問題について真剣に考えている人たちを不快にさせかねない内容かもしれない。

でも「笑い」というのは批評精神、批判精神を持つものであり、一つの思想や考え方に凝り固まっているような時にふと我に帰って冷静になったり、客観的になったりするために必要なものだと自分は考えている。

国家の狂気、特に国家が有している狂気じみた攻撃性というものに冷や水を浴びせかける装置としても「笑い」というのは必要なものではないだろうか。
たとえそれがほとんど無力なものであったとしても。たとえそれがいささか不謹慎なものであったとしても。

人間は笑ってはいけない、と言われると余計に可笑しくなったりするもので、厳粛な葬儀の席で珍妙な出来事が起こってしまったりすると笑いを堪えるのが大変だったりするが、人間はやっぱり不謹慎な笑いというのが一番好きなのである。

空軍基地を預かる司令官なのに「共産主義者が水道水にフッソ化合物を混ぜてアメリカ人の高貴な体液を汚している」という陰謀論に取り憑かれた挙句、ソ連に核攻撃を仕掛けるリッパー准将。
リッパー准将の狂気に乗じて一気にソ連を壊滅させるといきまくタージドソン将軍。
任務を遂行しようと愚直に行動し、ロデオよろしく核爆弾にまたがって「ヒー、ハー!」と絶叫するコング少佐。
どう見ても不謹慎な感じで、笑っていいんだかなんだかよくわからないが、やっぱり笑ってしまう。

極め付けはピーター・セラーズ演じるストレンジラヴ博士。
元ナチスの科学者のため、ついつい「ハイル、ヒットラー!」と右腕を挙げそうになるのだが、その右腕を左腕で必死で止めようとして逆に右腕に首を絞められたりするのだ(笑)。

ピーター・セラーズといったら自分にとっては羽佐間道夫が吹き替えをしてた「ピンク・パンサー」シリーズのクルーゾー警部なのだか、羽佐間道夫の声の面白さがなくても、動きだけで人を笑わせられる天性のコメディアンだというのが本作を観るとよく分かる。

そして、いずれのキャラクターもデフォルメされ戯画化されていてついつい笑ってしまうのだが、戦争まで突き進んでしまう人間性というものを意外と的確に捉えているのではないかと、ふと感じてしまう。

笑ったあと、慄然とさせられる。
これはそんな映画であり、『シャイニング』で感傷的なエンディングを拒絶して自分をモヤモヤさせてくれたキューブリックの冷徹な人間観察眼がここでも炸裂している。

『2001年宇宙の旅』だけを観て、分からん❗️と怒ってキューブリックと縁を切った方がいたら、もしかしたら本作でよりを戻せるかもしれない。
中には不謹慎すぎる❗️と余計怒ってしまう人もいるかもしれないけど(笑)。

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盟吉津堂

4.0コーラはどうでもええねん!

2025年2月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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